#時代小説 の作品

奔れ、強右衛門

 天正三年(一五七五年)、武田軍一万五千が、奥平貞昌ら五〇〇の兵が立て篭もる長篠城へと攻め込んできた。  三〇倍の圧倒的な兵力差の前に、長篠城の落城は目前に迫っていた。  そこで徳川家康に援軍を求めるため、奥平家の足軽・鳥居強右衛門が一人、武田軍の包囲を潜り抜け、岡崎城へと走ることとなった。  強右衛門は無事、岡崎城へとたどり着けることができるか?  また、見事たどり着いたとて、果たして朗報を無事持ち帰ることができるのか?  織田の「鉄砲三段打ち」で名高い『長篠の戦い』の舞台裏に迫る!
完結 / 全1話 2022/04/28更新 歴史•時代

さすらいの怪力武士、織田信菜に仕える

「腹が……減った」  最後に何かを口にしたのは何日前だっただろうか。  世は戦国時代。  俺は主を失ったさすらいの武士である。  つまるところ無職だ。  三郎丸と名乗っている。  力に自信はあるので、なんとか武功を示したいところなのだがな……。  このあたりは、織田家の領地だ。  当主の信長は、うつけ者として有名らしい。  うつけ者であれば、名家の出身ではない俺でも雇ってくれるかもしれない。  そんなことを考えつつ、道を進んでいく。  ちょうど、織田家と今川家の武力衝突の場面に出くわした。  織田家が劣勢だ。  少女が窮地に陥っていたので、俺は織田家に加勢した。  そして……。 「いい? 三郎丸とやら。あなたは間違って覚えているようだから、教えてあげるわ!」  少女がそう言って、腰に手をあてる。  何やら偉そうなポーズだ。 「この尾張の当主は、この私。織田信菜よ!」
連載中 / 全2話 2021/09/12更新 歴史•法則改変