#切ない の作品
夜空へ虹の架け橋を
――二〇二二年、夏。
高校三年生の琴音は、彼氏の結弦と、親友の美輝、そして美輝の彼氏の怜と共に海が見える小さな町の温泉旅館を目指していた。
しかし四人を乗せて走るバスは、暴走する対向車を避けようとしてダム湖へと転落してしまう。
美輝と怜は助からず、結弦は事故以来目を覚ますことは無かった。
それから七年後――。
中小企業に就職した琴音は、流されるまま日々を淡々と過ごしていた。
そんなある日、職場でパワハラを受け、縋るように向かった結弦のもとで琴音は閉じ込めていた感情をあらわにしてしまう。
そして、事故現場の慰霊碑を訪れた琴音。
不思議な黒猫やバス事故の遺族と出会い、七色という土地の伝説を知った琴音が目覚めた先は、七年前のバスの車内だった。
なにが夢で、なにが現実かわからないまま、時を超えて叶う四人の旅。
未練と共に時空を彷徨う魂を弔う、天伽の巫女との出会い。
戻った過去での様々な体験が、徐々に琴音の心を強く変えていく。
しかし、その世界には大きな秘密が隠されていて――。
時を越えた想いが繋ぐ、愛と命の物語。
Lies and Truth
クリスマス会の後、近道の為に入り込んだ緑地公園で不可解な事件に巻き込まれてしまう高校一年の緋莉。
たまたま通りかかったという紅い瞳の銀髪男性ルカに助けられるが、翌朝のニュースで自分に絡んできた男達と知らない女子生徒が惨殺された事実を知る。
犯人は誰か、
なぜ殺したのか、
何も解明されないまま自分を責める緋莉の元に再びルカが現れるが、この日を境に彼女の日常は徐々に歯車を狂わせていく。
※作中に登場する天体現象は、天文学ではなく占星術に基づいています。
ROCK・ペーパー・フラワーズ
――神保町駅から九段下駅までの一分間は、あなたにとってはただの乗車時間でも、私にとっては、たぶん、酸素を吸うのと同じくらい不可欠な一分だった。
東京メトロ半蔵門線の、神保町駅から九段下駅までの1分間をテーマにした、男女の別れの物語。