#すれ違い の作品
恋愛登山道一合目
菅沼真紀、二十九歳。他では見られない高収入・好待遇と引き替えに、一見カタギ、しかし実質真っ黒な桜査警公社に入社して早七年。防犯警備部門に配属された直後は人生の汚点と呼ぶべきトラブルに巻き込まれるも、その事件がきっかけでつけられてしまった不名誉なあだ名を払拭すべく仕事に邁進し、上司や同僚からの信頼も厚い存在となる。
そんな彼女に上層部から直々に持ち込まれた、かなり訳アリ人物の身辺警護業務依頼。かなり不審に思いつつも、社の実質トップからの指名に仕事を引き受けた真紀。しかしその裏側には、やはり真紀が推察した通りろくでもない事情が存在していた。
その警護対象者の周りで発生する嫌がらせや襲撃に、否応なく巻き込まれる真紀。しかし仕事と割り切り悉く撃退していく彼女だったが、当の健介やその友人の態度が怪しすぎ、真紀は内心で不審者扱いしていた。
訳が分からない意味深な台詞と、苛立たせる行動に辟易しつつもプロ根性で警護任務をこなしていく真紀。しかしある襲撃事件がきっかけで、お互いに相手の素性が完全に白日の下にさらされる事となった。歓喜する健介だったが、真紀としてはろくでもない事件の首謀者とその背景が明らかになっただけで、大して感慨もなく、ただ今回の騒動を契機に抜け目なく北郷議員陣営から搾り取るだけ搾り取った上層部の腹黒さと容赦のなさに呆れ果てるだけだった。
一方の健介は、一から真紀とやり直そうと決意し、意気揚々と桜査警公社に乗り込むが、真紀にたどり着く前に盛大なしっぺ返しを食らった挙句、全く自分に無関心な真紀に、最後のとどめを刺されて放り出されることになる。そんな大小様々な騒動を巻き起こしつつも、真紀を含む桜査警公社の面々はいつも通りの世間では非常識な、しかし自分達にとっては常識的な日常を過ごしていくのだった。
【裏腹なリアリスト】スピンオフ作品。世間の常識は公社(うち)の非常識を地でいく桜査警公社で奮闘する、真紀の活躍を書いていきます。カクヨムからの転載作品です。
裏腹なリアリスト
【半世紀の契約】続編&スピンオフ作品。
藤宮美実(とうのみやよしみ)、二十四歳。五人姉妹のど真ん中という微妙な存在で、幼い頃は激しく夢見る少女だった彼女は、姉二人の陰謀(?)によって徐々に夢をこじらせ、周囲の迷惑や戸惑いをものともせずに、只今現在妄想街道爆走中。あっという間に六年越しとなった、顔も稼ぎもそれなりに良い、皮肉屋の恋人あり。
商業デビューして執筆活動二年目で、恋も仕事も一見順風満帆の彼女に、ここで予定外の妊娠発覚。このままデキ婚になだれ込むかと思いきや、些細な行き違いと勘違いが積み重なって、事態は思わぬ方向に。果たして彼女は、無事結婚出産できるのか!?
「カクヨム」「小説家になろう」からの転載作品。
夢見る頃を過ぎても
【零れた欠片が埋まる時】続編。
これまで年の離れた異母妹清香(さやか)を溺愛していた清人(きよと)だが、自分の妨害にも挫けずに食らいついた異父弟聡(さとる)と清香が付き合い始めた結果、未だ独身にも関わらず娘を取られた物悲しい父親気分を疑似体験中。そんな兄を心配した清香が清人の縁談を画策するが、実は清香の知らない所で女性の出入りが激しかった清人には、以前から密かに想い続けている一人の女性が存在していた。
突如として浮かび上がった予想外の人物の名前に、周囲の人間は激しく動揺しながらも何とか二人の仲を取り持とうとするが、長年擦れ違っていた両者の間がそう簡単に近付く筈も無く……。そして本人達も知らぬ間に、運命の歯車が静かに回り出す。どこから見ても完璧と思われる、清人の数少ない弱点とトラウマが、恋の行方と話の進行を思い切り阻害する予定です。
カクヨムからの転載作品です。
半世紀の契約
それぞれ個性的な妹達に振り回されつつ、家の中で五人姉妹の長女としての役割を自分なりに理解し、病臥している母親に代わって藤宮家を纏め、切り盛りしている美子(よしこ)。他人からは一見、凡庸に見られがちな彼女は、自分の人生においての生きがいを未だにはっきりと見い出せないまま単調な日々を過ごしていたが、とある見合いの席で鼻持ちならない相手を袖にした結果、その男が彼女の家族とその後の人生に、大きく関わってくる事になる。
その場限りの出会いの筈が、ろくでもない企みを抱えて求婚してきた相手に、盛大に反発する美子だが、傍若無人のその男は自分のペースを保ちつつ美子の生活に堂々と踏み込んでくる。しかしこれまで接した女性とは、一線を画している美子に、相手が徐々に興味を覚えてきたのが運の尽きだった。
一見常識人でも、実はとてつもなく非凡な美子と、十分な能力がある分、傲岸不遜で得体の知れない秀明の、予想外の出会いから始まり、様々な騒動に巻き込まれつつ進む、破天荒な恋の行方。
カクヨムからの転載作品。
零れた欠片が埋まる時
佐竹清香(さやか)は早くに両親を亡くし、シスコン気味の売れっ子作家の兄清人(きよと)と2人暮らし。若干寂しくも穏やかな毎日を送っていたが、二十歳の誕生日を過ぎる頃から、身辺が賑やかになってくる。それが両親の通夜の席で不用意に発した一言と、彼女達両親の隠された境遇に因るものだとは、清香は夢にも思っていなかった。
昔からの顔見知りの、優しい《お兄さん》達に加え、近付いてくる一人の人物を無視できなくなっていく清香。しかしその相手も複雑な事情を抱えて清香に接触していた。清香と清人とその人物の関係に加えて、横から有形無形に割り込んで来る男達。そして清香が長年知らなかった事実が遂に明らかになる時、事態が大きく。真実と清香の恋の行方は?
カクヨムからの転載作品。