VR•サイバー空間の作品
210でイこうv1.2(連載版)
今は昔、新世紀なかばの年末も、はやり病と就職ツンドラ期がつづいていた。
頭から靴まで白い防護服セットをまとった人々が表通りを行きかっている。中古のバイクヘルとツナギのボクは裏通りへまがった。
狭い路地に面した“大〇ビルヂング”の看板がかかった廃墟寸前の建物にはいる。崩れかけた階段を4階まであがった。
サビだらけの鉄製ドアに“KAGA研究所(仮)就職面接会場”とプリントされた紙が貼ってある。
ピンポン・ボタンはない。お作法どおり3回ドアをノックした。
応答なし。もう3回ノックする。おそるおそるドアノブを回して室内にはいった。
目玉焼きにはウインナーでもいい
私立高校に通う壮馬(そうま)は、女の子とおしゃれが好きな、どこにでもいるような普通の男子高生。
入学式の日。壮馬は、一人中庭でヴァイオリンを弾く海(かい)に偶然出会った。クラシックとは無縁の人生を送っていた壮馬だったが、海の音楽に心を動かされ、自らもヴィオラを手に取り室内楽団を立ち上げる。
物語の舞台は夏へ。
まだ同好会の段階である室内楽団には、壮馬・海の二人の他に、お調子者の耕介(こうすけ)やワイルド系の浦野(うらの)、そして女顔の愛沢(ラブさわ)がメンバーに加入済み。
アンサンブルを編成し、部活動として承認を得るために奮闘する中、好きな子との思い出を作ったりと、壮馬は青春を謳歌する日々を過ごしていた。
しかし、とあることがきっかけで、当たり前に過ぎていく日常に不自然さを見てしまう。
*「今日も彼を攻略できませんでした……」
AIが感情を再現し得るようになった時代。僕達は彼ら彼女ら自らの"感情の発露"を目指し、開発を行っていた。これはその開発の一部を切り取った記録である。【キャッチコピー】もう十分持ってるじゃん!
セオリー・オブ・テロス
時は2025年。
VR技術が発達し、世の中の一部がVR化しつつあるが、決してバーチャルが全てになってはいない世界。
シンギュラリティと言われるものが訪れてはおらず、AIも実用化はしていない時代。
そんなある日、VRゲームのデバッガーであるカイは、不思議なバグと出逢う。
その小さなバグが世界を変える発端になることを、カイはまだ知らずにいた……
マジック&ソード・クロニクル ~適当に選んだ職業【ぬいぐるみ使い】が、ムチャクチャな性能なんですけど!?~
奉城アイルは今日も屋敷でゲームに勤しもうとしている。
新しく配信されるマジック&ソード・クロニクルというVRMMORPGの前評判は、上々だ。
しかしーー。
「なんでどの職業も選べないの!? バグ!?」
彼女の新たなゲーム生活は、混乱とともに幕を開けようとしていた。