気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!
170 恋愛は学生時代からはじめておこう。あとで後悔する。
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「もう気は済みましたか? 小説家の『DO・助兵衛』先生?」    その場にそぐわない名前から、ざわつきだす少年少女たち。 「白金くん、君は誰のことを言っているのかな?」 「いやいや、そんなフザけた名前はあなただけでしょ?」  白金がジト目になっている。  ヤバい、こいつの攻撃ターンになっているぞ。 「ハハハ、これだからは子供は……ささ、ママのところまで送りまちょね」 「私はれっきとした成人女性です!」  クソッ! お前のキモい体型を使って逃げようとしたのに。 「なんのことやら……俺と君はたぶんあれだ。どこかの遊園地で迷子的な出会いをしただけだろう?」 「言い逃れ……できませんよ? センセイだって、さっきあの女性に言ってたでしょが!」 「な、なんのことだ……」  フケもしない口笛で、ごまかす。 「平等でしたっけ……?」  ニヤけだしやがった……図ったな! 「センセイのペンネームも暴露してこそ、ここは平等ということですよ。DO・助兵衛先生♪」  するとどこからか 「プッ、ダッセ!」 「スケベだってさ」 「自分が一番の羞恥プレイだよな」  俺はそんな性癖を持ってないよっ! 「ガッデム!」  両手で激しく頭を左右に振り回す。 「あ、あなた……ホントにそんなバカげた名前で活動しているの?」  女教師が憐れむような眼でこっちを見る。  あたかも「きっとこの子もいろいろあったのね……」みたいな近所のおばちゃん的な目でみるな! 「そうですよね~ DOセンセイ♪」 「クソガキ、お前あとで覚えてろよ」 「文句はあとで聞きますから、ささっ、お仕事お仕事♪」  いつか殺す……いや殺すだけじゃ物足りない。  ここはどっかのロリコン御用達の風俗店に「合法ロリですよ、タダであげます」と性奴隷にしてやろう。 「お前のせいで、俺の評判はがた落ちだ!」 「DOセンセイの評判なんて、ネットでボロカスですよ」  俺は白金に手を取られ、その場から連れ出される。  人込みを掻き分け、すれ違いざま何度も 「スケベ」 「ヘンタイ」 「性の権化」  と、ディスられるおまけつきだ。  だが、去り際に一つの声で呼び止められた。 「あ、あの……ドスケベ先生!」  そのストレートすぎる直球は、俺の眉間に直撃し、気絶するところだった。  俺を呼び止めたのは先ほどのJCちゃんだ。 「おい……そこは『お兄さん』とかでいいんだよ? それに俺はドスケベではなく『DO・助兵衛』だからね」  そう言い直すと、少女はクスクス笑っている。 「でも、私は素敵な名前だと思いますよ」  この少女は、中学校であの痴女教師に洗脳とかされているんだろうか。 「あの、これ……忘れるところでした」  差し出したのは一つの人形。  フェルト生地のサンタクロースのキーホルダーだった。 「なんだこれは?」 「募金された方には全員にお配りしています。私たちからのクリスマスプレゼントです♪」  なにこれ、施しを受けたみたいで、こっちが可哀そうなんですけど?  女子からクリスマスプレゼントもらうなんて、初めてなんですけど! 「これは……手作りか?」 「はい、みんなで徹夜して作りました」  嫌だ。泣けてきた……。 「そうか、お前らもあんなハレンチ教師じゃ、いろいろと苦労するな」  俺がそう突っ込むと、また少女はツボにハマり、クスクス笑いだす。  何がおかしいの?  あーあれね、ハシ落としたり、駅のハゲ見たりして笑う年ごろね。 「うまく言えないんですけど……きっと、あなたにもいつか……クリスマスを一緒に過ごせるひとが現れると思います」  少女は満面の笑みで俺を見つめている。  正直、惚れそう。  君がそのひとになってくれるの? 「お、俺に……?」  予想外の言葉に動揺する。 「DOセンセイ、さすがにJCに手を出したらダメですよ~」  耳元でバカが俺に囁く。 「なぜそう断言できる? 俺はこう見えて、もう何年も友達すらいない。なぜ年下のお前がそうも言い切れるのだ?」 「だって……ふふふ」 「な、なにがおかしい?」 「見ず知らずの私たちに気を使ってくれて……大人の先生に啖呵を切る人、初めて見ましたもん。ドスケベ先生は、きっと優しいひとなんだろなって思いました」  人の性格を読書感想文のようにまとめるな! 「ま、まあ……俺は白黒ハッキリさせないと気が済まない性分なのでな。お前ら生徒たちだけが薄着なのが、不平等と感じただけだ」 「確かにすぐケンカになっちゃいそうな性格ですね」 「まあ……な」 「でも、私は素敵だと思います。どうかあなたにも良いクリスマスイブを過ごせますように」  そう言うと、少女はその場で祈りをささげた。  この子は女神か?  じゃあ、この場で君が俺の彼女になってくれ!  俺ならこの子を幸せに、(いっぱいエッチなこと)してあげるのに。 「お、おう……」 「へへ、DOセンセイたらJCに照れてやんの!」 「お前はあとで覚えてろよ」 「あっかんべー!」  少女は最後まで、俺に手を振っていた。  だが、彼女言った言葉、なぜかグサッと来た。  あの少女のセリフはなんの信ぴょう性もないのに、なぜか予言めいたものを感じる。  なんだこの胸の高鳴りは……。
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