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「初めて、初めてって。別に私のあとで、センパイとマリンワールドに来ればいいじゃない!? どうしてそこまでこだわるのよ? だからって私とセンパイのデート……取材の邪魔する理由になってない!」 「タッくんの初めてはアンナが絶対なの! 今まで映画も遊園地もプールも温泉も花火大会も……全部、ぜ~んぶ! 初めてはアンナだもん! ひなたちゃんこそ、二番目にしてよ! 抜けがしてラブホに連れ込んだりしてぇ!」  こんな低レベルの口喧嘩をかれこれ、30分近くも大声でやりあっているんです。  しかも、入口の近くの売店で。  たくさんのお客様が見世物のように集まり出しちゃって。  もうね、公開処刑ですよ。俺は。 「ら、ラブホの件は……あれは仕方なくヤッちゃっだけよ! ていうか、なんでアンナちゃんがあの事を知っているのよ!?」  なんかさ、二人してラブホの話題でも盛り上がってるけど、知らない人が聞くと、俺とひなたが関係持っちゃったカップルとして勘違いしちゃうよ。 「あのあと、タッくんから聞いたもん! だから、アンナも次の日連れて行ってもらったよ? スイートルームで可愛いハートのジャグジーで、タッくんと仲良く入ったもんね!」  もう、やめてぇ!  俺、どんだけヤリまくってる男なのよ?  まだ童貞だよ……。  人だかりが出来て、俺達を囲み、二人のケンカを見守る。 「おいおい、あのオタクっぽい奴があんな可愛い二人と……うらやま!」 「三角関係? 肉体関係? どっちにしてもあの野郎、マジ最高じゃんか!」 「女の敵ね。あんなに二人を困らせて、去勢するべきよ。ヤリ●ン野郎は」  ほらぁ! 誤解されてるじゃんか!  俺は一人、頭を抱え、もがいてはいるが、二人の口は止まらない。 「ハァ? そんなの聞いてない! ジャグジーで経験したの? なんてハレンチなの!」 「ひなたちゃんの方がエッチだよ。タオルだけで身体を隠してタッくんに馬乗りなんてさ」 「あれは……中に下着をちゃんと着てたし……アンナちゃんの方こそ、裸になってジャグジーでセンパイを誘惑したんでしょ?」 「し、してないもん! アンナはタッくんが決めたスク水を着てたし……」  ぎゃあああ!  もう穴があったら入りたい!  ざわつく水族館。  スタッフや警備員まで出てきた。 「君たち! 小さなお子さんもいるんだ! 痴話げんかなら外でやってくれないか!」  青い制服を着た中年に注意されるが、二人は逆ギレする。 「「邪魔しないで! ハゲのおじさん!」」  こういう時は息がピッタリ。 「うっ……」  ハゲで落ち込むおじ様。 「私の方がセンパイと付き合い長いし! だって入学して間もない頃からの仲よ?」 「あ、アンナだって! ミーシャちゃんに紹介されて、初めてのデートしたもん!」  いや、お前は入学式に出会っただろ。ミハイルとして。 「ふん! 出会いは私の方が先みたいね!」 「で、でも、アンナはタッくんの好みに合わせられるもん! ニンニクだってラーメンに入れられるし、タッくんの好みのコスプレだって出来るよ。メイドさんもスク水も……タッくんが望むなら、なんでもやれる自信がある!」 「ぐはっ……」  なんだろ、どんどんHPが削られていく。  一向におさまらない騒ぎを聞きつけたのか、一人の女性が仲裁に入ってきた。 「お~い、お前ら……な~にを公共の場で、『ヤッただヤラないだ』『掘った掘られた』卑猥な言葉で人様のお耳を汚してんだ? コノヤロー!」  俺達の前に現れたのは、超のつくどビッチ。  ウエスタンブーツ、股に食い込むぐらいローライズのデニムのショーパン、そしてプルプルと左右に揺れる巨乳を支えるのは、アメリカ合衆国の国旗が描かれた派手な水着。  頭には、カウボーイハット。 「小便臭いガキ共がイチャつくのは、10年早いんだよ、コノヤロー! 新宮。お前、この前の単位全部はく奪するぞ!」  そう言って俺の胸ぐらを掴む女。  僕の担任教師、宗像 蘭さんです。 「いや、それは……」 「うるせぇ! お前ら、覚悟はいいな? 全員ついてこい!」  完全に脅しだが、誰も抵抗する勇気はなかった。 「「「はい……」」」
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