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 クソみたいな体育(ただの遊び)が終わり、教室へと戻った。  イスに座るとため息と共に、安堵が生まれる。  やっと解放されたのだ。  この一ツ橋高校の校舎。いや、刑務所からな。  各々がリュックサックに荷物をつめ、笑い声が聞こえる。  そうリア充グループもつまらんのだ、この校舎が。  彼らも高卒という資格が欲しいだけ。  つまりは賃金アップや職務上の資格欲しさで入学したに過ぎない。  まあ俺はちょっと『違う理由』で入学したのだが……。 「なあタクト!」  あれミハイルさん? なんで満面の笑顔で俺を見てんの? 「どうした、古賀?」 「あ、あのさ……」  なにをモジモジしている? また聖水か?  お花を摘むなら、どこぞの花畑にでもいってこい。 「あの……一緒に帰らないか?」 「え……」  一瞬、ミハイルの『帰らないか?』が『やらないか?』に聞こえたのは、俺が突発性難聴なのか? 「まあ……構わんが」 「じゃ、やくそくだゾ!」  おんめーは小学生か!  俺のポ●モンはやらんぞ?  バシッ! と雑なドアの音が聞こえると、一人のビッチが現れた。 「それでは帰りのホームルームをはじめるぞ~」  ボインボイン言わすな! 宗像!  乳バンドをしっかりつけて固定しろ!  つけてその揺れ方なら、整形してこい! 「はじめてのスクリーングは楽しかったか? お前ら!」  なにを嬉しそうに語るのだ? 宗像先生よ。  シーン……としたさっぶい空気。  これはリア充も非リア充も同じである。  草! 「なんだ? お前ら? 元気がないな? 私はこうやってお前らがスクリーングに来てくれたことが本当にうれしいゾ♪」  キモいウインク付きか……。  教育委員会に報告とか可能ですかね? 「じゃ、レポート返すぞ! 一番! 新宮!」 「はい……」  席を立ちあがると、キモい巨乳教師の元へとトボトボ歩く。 「声が小さい!」 「はぁい~」 「たくっ! お前はケツを叩いてやらんといかんな、新宮」  いや、セクハラじゃないですか……。 「ほい、よくできました!」 「ありがとうございます」  用紙を覗けば『オールA』  まあ当然だろな、ラジオでアンサーありきの勉強だからな。  鼻で笑いながら着席する。 「じゃあ二番! 古賀!」 「っす……」  いや、なんで俺だけ怒られたの? ミハイルも怒れよ! 宗像! 「古賀……お前、もうちょっとがんばれよ?」  なんかめっさ『この子かわいそう……』みたいな憐みの顔で見てはるやん、宗像先生。 「っす……」  青ざめた顔でレポートを見るミハイル。  『私の年収低すぎ!』ぐらいの顔だな……。  どれ突っ込んでやるか。  席についたミハイルへ声をかける。 「おい、古賀。レポートどうだった?」 「え……DとかEばっかり……」  そんな涙目にならんでも……。  ちなみにD判定はギリギリセーフ。単位はもらえる。  E判定はやり直しである。  つまりアウト~! なのだ。  だが、風にきいた噂だと、E判定はなかなかでないと聞いたが……。 「お前、ラジオ聞いたのか?」 「え? なにそれ?」  驚愕の顔で俺を見つめるんじゃない!  可愛すぎるんだよ、お前の顔。  このハーフ美人が! 「ラジオ聞いてたら楽勝だぞ?」 「そうなんだ……タクトはどうだったの?」 「俺か? オールAだが」 「す、すごいな! タクトって!」  え? 驚くところですかね?  逆にバカにされた気分。 「な、なあ今度オレに、べんきょー教えてくれよ☆」  えー、金もらえないならいやだ~ 「ま、構わんが……正直ラジオ聞けば一発だぞ?」 「ラジオ? オレの家にはそんなのないけど?」 「そ、そうか……」  あえて突っ込むのはやめよう。可哀そうなお家なのかもしれない。 「じゃあ、お前ら気をつけて帰ろよ!」  気が付けば、レポートは全員に返却され、各々が素早く教室を出る。  しかし、その動きを止めたのはセクハラ教師、宗像。 「あと! 帰りに遊ぶのは構わんが……ラブホ行ったやつはレポート増やすぞ! 絶対にだ!」  みんな一斉に硬直しちゃったじゃないですか……。  呆れた顔で帰る生徒に、苦笑いするリア充(いくつもりか!)、ドン引きする非リア充。 「なあタクト……ラブホってなんだ?」 「え……」  それ童貞の俺に聞きます?  ミハイルさん? 「ミーシャ、帰ろ」  花鶴ここあか、なぜ俺の机の上に座る?  お前の臭そうなパンティーが丸見えだ。  そんなミニスカ、どこで売ってんの? 「イヤだ! 俺はタクトと帰る!」 「ミハイル、タクオと帰るんか?」  千鳥のおっさん、タクオってもう定着しているんですか?  やめません? 「そだね。オタッキーならいいっしょ」  よくねーし、なにがお前らの中でいいんだ? ミハイルはお前たちの子供か?  そう言い残すと『それいけ! ダイコン号』のお二人は去っていった。  あの二人は付き合っているのかな? 「じゃあ……タクト、いこ?」  なぜ上目遣いで誘うような顔をする? 「ああ……」  なんか下校するのに、級友と一緒に歩くのなんて久しぶり……。  え? 人生ではじめてか?  ブッ飛び~!

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