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 そう俺ぐらいのコミュ障は全日制などほど遠い。  何が楽しくて、やかましい教師とリア充の級友、それも年下の少年少女たちと共に、三年もの時を無駄にせねばならぬのか?  通信制ならば、二週間に1回のスクーリングと呼ばれる対面授業だけでいい。  それ以外は毎日公式のラジオ放送を聞きながらレポートを書き、ポストに投函すれば、あとは人と出会うことなどないのだ。  そうだ、先ほども述べたように俺は選ばれた天才であり、リア充が巣くう学校などという枠に収まる人間ではない。  などと、俺が持論を心の内で語っているうちに、入学式は着々と進んでいき。  司会の宗像先生が「全員起立! 校歌斉唱!」と言い放った。 「え? 校歌?」  知らんがな、そんなもの。だって、聞いてないもの……。  とりあえず俺も皆を真似て立ち上がる。  視線を式のプログラムに合わせると校歌があった。  まあ真面目な俺はとりあえず、周囲に聞き取れないような、かすれた声で歌って見せた。いわゆる、口パクに近い。  隣りの席を見ると、真面目な俺とは対照的にやる気のなそうな、(ここは同じか)一人の少女がいた。  てか、全然歌ってねぇ!  俺だけ真面目に歌って、バカみたいじゃない?  やる気のない少女は小柄で金髪、肌は白く華奢な体形で宗像先生とは大違いなほどに貧乳、いや絶壁ともいえよう。  長い髪を全て首元で結い、纏まらなかった前髪を左右に垂らしている。  「くだらない」と言った目で、だらしなく立っている。  入学式だというのに、肩だしのロンT。中にはタンクトップが見える。そして、ショーパン。  この俺も背が高い方ではない。一七〇センチもないほどなのだが、彼女は小柄すぎて胸が見えそうだ。  正直いって俺のどストライクゾーンだ。貧乳、マジ大好き。  俺が下心丸出しで彼女を見下ろしていると、やましい視線に気が付いたようで、目があってしまう。  なんということか、俺はギャルか、ヤンキーなどの類だと思っていたが、この娘は違う。  外国人かハーフというやつだろう。  その瞳はエメラルドのように透き通った色で、美術館に飾りたいほどに美しい。  小柄、色白、華奢な体形、天然の金髪、緑の瞳、そして、貧乳……。  最高かよ。  なにこの娘? 天使? リアル天使なの?  いや~、高校も捨てたもんじゃないですね。 「てんめ……なに、さっきからジロジロ見てんだよ」  その天使ちゃんは押し殺した声で俺を脅した。  前言撤回。こやつはやはり、リア充グループであり、俺のセンサーではコミュ力、1万を超えているぜ。  しかも、言い回しからしてヤンキーなのだろう。 「すまない……」 「フンッ!」  ツンデレなのか……。ヤンキーですが、これも中々に萌えますな。  そうこうしているうちに、地獄のような入学式は終わりを迎えた。  学校関係者や保護者たちが退場していく。  俺も帰路につこうと、立ち上がろうとするが、宗像先生に呼び止められた。 「新宮! まだ帰るなよ! 今から生徒たちは別室で説明会をする」  げっ! まだ終わんねーのかよ……。
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