ついでに、私もデュゼに、宿舎を手配させた。 「どうやって門を開けた――?」 こちらの言に、ゼダスは口の端を歪める。 「どうやってだと思う?」 「訊いているのは、私だ」 「はは」 面白がって笑い声を上げ、ゼダスはこちらの背を強打。手加減を知らない男だ。私は、その箇所を擦った。 「内通者が居てね――。その者に、協力を頼んだ。お前は、住んでたこともあるから知ってると思うが、アルツォネルゼは門に特殊な仕掛けを用いている。内側からなら、赤子の手でも簡単に開く」 「成るほど」 と私は呻いた。別に計画に感心したのではない。それを我々に伝えなかった彼に、抗弁したのだ。 察してか、そうでなくか、ゼダスは再び笑い声を上げた。 「かはは! これからが本番だ! 忙しくなるぞ、まずは頭目を収集し、それから作戦考量だ!」 ゼダスの笑いは、ひたすら不快であった。が、そのことには触れず、彼と道程を同じくした。また『あのようなこと』があっては困る。迎えにきた若者が、意味もなく首を刎ねられるのは、うんざりだった。アセドアは、今は姿が見えないが、いずれその空腹を満たそうとするだろう。そうなる前に引導を渡してやりたいが、今は、ゼダスに付きしたがって街並の一角に歩を進めた。早目に会議を終えて、警戒に移りたかった。危険に晒される者も居なくなる。 街で、最も大きな建物に、六人が集まっていた。サディストと昨日世を去った一人を除いて、全員が集結したことになる。バグバレスとフィルモルーニも(誰が誰だか分からないが)部下に任務を任せて、招集に応じている。 トキシトラが一行を促し、我々は元は酒場だった建物の羽扉を開けた。 ゼダスを中心に、六つの隊の頭目が腰を下ろす。 一団を統べる者の開口を待って、口々に称讃の声が上がった。 「ようこそ」 とだけ口にしたゼダスは、一頻り騒音が収まってから「アルツォネルゼへ」と締めた。再び、歓声。隊を取り仕切る者達だけあって(といっていいものかどうか)、たった六人で、万の兵士に勝る喧騒である。 両手で応えて、ゼダスは続きを発した。 「ここからが今回の肝だ。皆、本腰を入れて戦ってほしい」 「もちろんだ!」 赤ら顔の、男。彼がフィルモルーニだろうか。先ほども見掛けた。
コメントはまだありません