『準備はいいか?琉雅?』 「ああ。いつでもいける。」 〘かの者たちに気づかれないよう最短で終わらせなくてはなりません。よろしいですね?〙 「ああ。何度も“想像”した。失敗はしない。」 そして俺は飛び立った。 曇り、月と星の輝きが届かぬ東京の地。その上空を超高速で飛行する。瞬く間に街は遠のき雲に突っ込む。大粒の氷が結界に弾かれ砕け散る。そして雲を抜けた先には満点の星空と大きく輝く月があった。 今日、俺は月と星々の魂の封印を解く。あれから数ヶ月。さらに調査を進め、肉体の封印は『世界そのもの』にかけられていることがわかった。だがその封印を開放するにはやつらがかけたもう一つの“呪い”をどうにかしなければならない。そして今の俺にはその呪いをどうにかする力はない。それならば魂の封印だけを開放できないだろうかと考えた。 それから俺達は検証を重ね、いくつかの魂の封印を解くことに成功した。そして今夜、最も強固だと思われる魂の封印の1つを破壊することにした。 〘目標を補足!周辺環境異常なし!次元振動も正常!今です!〙 「よし!行くぞフーズ!!」 『おお!!!』 「『フェクト!!』」 次の瞬間、俺の体に変化が訪れた。二本の角が生え、皮膚は所々鱗となり、背中からは翼が生えた。これこそがアシェリスタの力の1つ。俺の中にいるやつの力を一時的に使えるようにする。これまではフーズの力を解析して魔法として使っていた。だがそれは所謂劣化模倣。本物には遠く及ばない。それに魂への干渉は普通の魔法ではできない。だからこの力を使った。 『行くぞぉ!琉雅ぁ!気張れぇぇ!』 「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 既に肉体が悲鳴を上げている。だが俺は腕を振り抜いた。薄れゆく意識の中、俺は何かが壊れる音を聞いた。そして俺は特大の光に飲まれた。 その日、東京の上空にて不可思議な現象が目撃された。突如、雲が晴れ星空が見えたと思ったら流星群が見えたのだ。人々は写真に撮り、SNSに投稿。政府も謎の異常気象とだけ発表した。だがその中で1人の少年が流星群の光の中で落ちていたことを知るものはいない。
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