「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」 「琉雅!しっかりしろ!落ち着け!」 隣では俺の父親が声をかけている。全身が激痛に襲われている。これまでで一番だな。 闇の柱を破壊した直後、俺は最後の1人、魔王主ゼドラグジェルガを開放した。だがゼドラはあるものを俺の中に持ち込んだ。それはある意味危険な賭けであるが成功すればさらなる力を得ることができるようになるというものだ。 それが闇の柱のコアだ。 ゼドラは闇の柱が破壊された直後、ほんの一瞬の時間で闇の柱のコアだけを確保していた。もともとはやつらが作り出したもの。だが俺とアリス(アシェリスタ)の技によりその存在が浄化され、やつらの支配が及ばなくなっていた。だからゼドラの提案によりこれを吸収し、解析。そして俺の人間という器をやつらの支配下から抜け出そうということになったのだ。 だが闇の柱はやつらの支配は受け付けなくなったが本来の機能は残っている。闇の柱の機能は世界中の闇を吸収し、その力を増大させる。それを吸収した俺は世界中の闇を吸収することになる。普通ならそんなことをすれば人間としての器が滅ぶ。つまり死ぬ。だが俺にはフーズたちがいる。俺はそれを闇を各種エネルギーに変換し、フーズたちに分配したり、力を強化するなどしてなんとか耐えていた。 ではなぜこれほど苦しんでいるのか。それは、浄化されたコアはもはや異形のアイテム。人間の体は異形の力に対して拒否反応を示す。フーズたちは魂に宿っている。魂はフーズたち異形の、肉体はやつらの支配下にある。それが人間だ。そしてコアを宿らすことはできない。吸収しかできないのだ。コアのような魂ではないものは吸収するしかない。 そうすれば拒否反応が出る。これが懸念していたことだ。拒否反応に関してはもはや運の問題。コアを吸収して数ヶ月。発熱などの体調不良で小さな拒否反応はあったもののこれほどの痛みはなかった。 だが、その痛みも徐々に収まる。視界がぼやけている。体が浮いているような感覚だ。これは、失敗したのか? 〈いや、成功である。〉 ゼドラの声が聞こえてきた。俺は目を閉じ、真眼で体を調べる。すると、あることに気づいた。 『よっしゃあ!ついに始まったな!』 (ああ。そうみたいだ。) 体の一部が異形化し始めていた。
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