それは、なんと彼の年齢が二十五歳だということだったのだ。 見た目から判断するなら二十歳くらいだと思っていたので驚いたのだがそれ以上に驚くべき事は、彼がまだ未成年だという事実だった。 それを知らされた私は、開いた口が塞がらない状態になってしまったのだがすぐに気を取り直して詳しい話を聞くことにしたのだが、その内容というのが実に興味深いものだったので、最後まで聞くことにしたのだが、それによると、実は彼こそが今回の事件の黒幕であり首謀者でもあるらしいのだが私にはよくわからなかったので聞いてみることにしたのだが、簡単に言えば、私を誘拐したのは、彼を陥れるための罠だったらしいのだが、実際は違ったようで本当の狙いは別にあったようでその目的というのが、私に恨みを持っている人物を殺すことだったようなのである。 その為に利用されたというわけだ。 つまり最初から殺すつもりだったということなのだがそこで一つの疑問が浮かんだのでそれを聞いてみることにした。 果たして本当にそうなのだろうかと疑ったからである。 何せ、わざわざ私を殺さずに助けたのだとしたら目的は一体何なのかと考えていたら不意に頭の中に浮かんだのは、もしかしたら私の命を狙っているのではと考えた結果だった。 だがそれならば何故私を殺さなかったのだろうかと考えたらやはり答えは出なかったが、そこで思いついたのが、殺さない代わりに、奴隷として死ぬまで働かせるつもりなのだという事だった。 つまり、自分の意思に関係なく死ぬまでこき使われるということだと考え付いた所で、身震いしていると、いつの間にか、近づいてきていた彼に声をかけられたため顔を向けるといきなりキスをされて驚きと戸惑いの声を上げることしかできなかった。 しかも舌まで入れられてパニックになっていたせいでまともに思考が働かなくなってきていたこともあり抵抗することすらできなくなってしまっていた。 それから数分後、やっと解放された時には既に手遅れになっていたことに気がつくのだった。 何しろ、頭がクラクラしていて何も考えられない状態になってしまっていたのだ。 その上、体が火照ってしまっているような感じがした。 これはどう考えても普通じゃないと思った時には既に遅かったらしく体の力がどんどん抜けていくのを感じていく内に意識を失いかけていたその時、誰かが部屋に入ってきたのが見えたがそれが誰かはわからなかった。 何故なら次の瞬間には気を失ってしまったからである。 そして次に目を覚ました時には、ベッドに寝かされていた上に手錠がかけられていたので驚いて起き上がろうとしたが上手く動かせなかったので諦めるしかなかった。 すると部屋の中に誰かが入ってきたのでそちらの方に視線を向けるとそこには黒月さんの姿があったので安堵していたのも束の間、彼は、笑みを浮かべながらこう言ってきた。 それを聞いて、何を言っているのかわからずにいたがその意味はすぐにわかることになった。 なぜなら彼はこう言ったからである。 君が助かることができたのは奇跡が起きたわけではなく必然であったんだよ、と笑いながら言うのを見て呆然としていたが、それでも何とかして誤魔化さなければと思い考えようとしたのだが、そんな暇を与えてくれるわけもなく再び迫ってきた黒月さんの唇が重なる感触を感じた途端に何も考えられなくなった。 何故ならそのキスはこれまでに感じたことのない程の快感をもたらすものだったからだ。 それだけではなく舌が絡み合い唾液を流し込まれて飲み込むたびに頭が真っ白になっていき何も考えることができなかったが不思議と嫌悪感はなかった。 それどころかもっと欲しいと思ってしまうほど夢中になっていたようだ。 だがそれは私だけではなく黒月さんも同じことのようだった。 その証拠に彼も夢中になっているように見えたがそれも当然の事だろう。 何故なら私達は既に恋人同士の関係になっているからだ。 だからこのままずっとこうしていたいと思っていた。 だが、そろそろ時間だと告げられてしまい名残惜しい気持ちになったが仕方がないことなので諦めたのだが、その代わりと言っては何だがまた会えると約束してくれたことで嬉しくなって素直に喜んだ後、笑顔で手を振って見送った後に、ふと我に返り恥ずかしくなったもののそれよりも幸福感の方が勝っている為幸せな気持ちになっていた。 テーマ:復讐。 そして数日後のこと、ついにこの時が来た。 私はこの日の為に今まで生きてきたと言っても過言では無いだろう。 なぜなら、今日こそあの男を殺せるチャンスなのだから……そう思いながら私はナイフを片手に持って部屋の中へと入って行ったのだが、そこには予想外の出来事が起こっていたようだった。 何故ならそこにいたのはあの女性だったからだ。 それを見た瞬間に全てを察してしまったがもう遅いと判断した私はそのまま近づいて行くと彼女にこう言ったのだ。 それはどういう意味かと聞きたかっただけだったのだが何故か彼女は怯えた表情をしていたので困惑してしまったが、それと同時にある違和感に気づいた。 それは彼女のお腹が大きく膨らんでいるのを見た時だった。 それを見て確信した私は彼女が妊婦なのだと理解したがそれと同時に恐怖を感じていた。 というのも、もしこの場で騒ぎを起こされたら面倒なことになるのは間違いないのでどうにかして黙らせなければならないと思っていると、意外にも彼女の方から話しかけてきたのだ。 それを聞いて私は驚きを隠せなかったが同時に納得したので納得する事にしたのだがそれでもまだ気になる事があったので質問をしてみた所、予想以上の答えを聞くことが出来た。 何と彼女も転生者だということが判明したからだ。 その事実を知った瞬間嬉しさで舞い上がってしまったが何とか気持ちを落ち着かせて冷静に対処することに成功した。 それから彼女と色々話をしてみるとどうやら私と同じように、この世界にやって来たのだと言う事がわかったので仲間ができたみたいで安心したのだがそれと同時に不安にもなったのでそのことを聞いてみたところ彼女は私の質問に対して頷いて答えた後、自分も同じ経験をしたので気持ちはよくわかるし私も貴方と友達になりたいと思うからこれから仲良くして欲しいと言われた時はとても嬉しかったのだがその反面申し訳ない気持ちにもなってしまった。 何故なら私は人殺しなので普通に生きていくことはできないしましてや誰かと仲良くすることなど許されるはずがないと思ったからである。 だからこそ、これ以上迷惑をかける前に消えようと思ったのだがそれを彼女に止められたので戸惑ってしまいどう返事をしたら良いのかわからなくなったのだが結局何も言わずに黙り込んでいると突然抱きしめられたので動揺していると耳元で話しかけられたのだ。 その内容を聞いた私は耳を疑ったと同時に、まさか自分以外にもいたのかという喜びにも似た感情を抱きながら感謝の言葉を述べた後お互いに握手を交わした後で改めて挨拶を交わすことにした。 その後お互いの自己紹介を終えたところで気になっていた事を聞いてみることにした。 というのも彼女には恋人がいた筈でその人とはどうなったのかということが気になって仕方なかったのだがそれを察したかのように話してくれた。 それを聞いた私は衝撃を受けた。 というのもなんと彼女はその男によって殺されてしまったというのだ。 信じられなかったが話を聞いているうちに嘘ではないとわかってきた為信じるしかなくなったので、今後どうするかについて相談に乗って貰うことにしたのだが、それについては心配しなくても大丈夫だと言われてしまいどうして大丈夫なのか気になったが理由は教えてくれなかったので仕方なく諦めた。 すると、その事に気づかれたのか、謝罪された上に慰められてしまった。 正直恥ずかしかったのですぐに止めて欲しかったがその思いとは裏腹にどんどん恥ずかしくなっていく一方だったので一刻も早く話題を変えることにした。 そこでまず最初に浮かんだことは黒月さんのことだったがそれを口に出すのは少し憚られたが他に話題になりそうなものがなかったので話すことにしたのだが、それを聞いて彼女は驚いていた様子だったので思わず笑ってしまった。 その理由というのは、何故そのような名前をつけたのかと聞かれてしまったからだった。 確かに言われてみればその通りだと思い、何も言えなくなってしまった。 しかし、いつまでも黙っているわけにはいかないと思い何か良い名前を考えようと思ったのだがなかなかいい案が出ず悩んでいると彼女がアドバイスをくれたのでそれを実践してみることにしたのだった。 早速実行に移そうとしたのだがこれが意外と難しくて思うようにいかなかったが何とか完成させることができた。 「よしっ!これで完璧だ!」 そう叫びながらガッツポーズをしていたところ、どうやら彼女も完成したらしく嬉しそうにしている姿が見えた。 「それじゃあ見せ合おうよ」と言われて頷いた後、それぞれ作ったものをお披露目することになったのだが、まずは私から見せることになったので少し緊張しながらも自信作を見せることにした。 その作品を見た彼女は驚いた様子で目を見開いていた。 その様子を見て満足した私が喜んでいると今度は彼女が見せてきたので見てみるとこちらも中々良くできていたので感心していると、褒められたことが嬉しいらしく照れている様子がとても可愛かったので見惚れていると、不意に目が合ってしまい慌てて視線を逸らすと、何故か笑われてしまった。 そこで大阪宗右衛門町の謝罪屋から謝罪の達人を千両で呼び寄せた。 紀州藩御用達の笹薮という店である。 謝罪屋名前は六五郎。 「おい、このお人は誰だい?」と聞くと番頭はニヤリと笑って、 「ご老中・田沼意次様の弟君でございますよ」と教えてくれた。 なるほど、それで大層な偉丈夫だと思ったのである。 土下座して詫びを入れたが、許してくれぬ。 それどころか、かえって怒り出して、「江戸の武士たる者が頭を下げるとは何事だ」と怒鳴りつけてきた。 これには困った。 謝るしかないと覚悟を決めて、床に額を擦りつけたまま言った。 「手前のような者でござれば、恐れ多くも将軍家のお血筋の方様にお詫び申し上げるなど、恐ろしゅうございます」 だが、相手はますます激昂した。 「おのれは、わしが将軍の血を引いておらぬと言うつもりかッ」 と怒鳴ったかと思うと、いきなり刀を抜いて斬りかかってきた。 間一髪のところを、店の主人が止めに入ってくれて、事なきを得た。 命拾いをしたわけだが、さすがにもうここにはいられないと思い、店を出ようとしたところ、呼び止められ、謝礼として金一封を手渡された。 だが、こんな大金を手にしても嬉しくはない。 そもそも悪いのは自分のほうなのだ。 そう思って立ち去ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。 振り返ると、さっきの客が追いかけてきて、こう言った。 「さっきはすまなかったのう。 わしが悪かった。 どうか許してほしい」 と言って頭を下げてくるではないか。 驚いて、こちらこそ申し訳なかったと言うと、相手は笑いながら首を振った。 そして、 「いや、おぬしは何も悪くない。 ただ、わしは自分の思い通りにならぬことがあると頭に血がのぼってしまうのじゃ。 昔から短気だとよく叱られておる」 そう言って、照れくさそうに笑った顔がなんとも爽やかで、好感が持てた。 それにしても、この若武者にはどこか見覚えがある気がする。 どこで会ったのだろうかと記憶を辿り、思い出した。 そうだ、たしか江戸城中で見かけた顔だ。 確か名は蘭学者の助田罰座衛門 「あ……ああ……」 俺は震える声で呻いた。 目の前に立っている男の正体に気が付いたからだ。 その男は――。 徳川吉宗公の御落胤にして、当代きっての天才絵師であり、また同時に奇才として知られる狩野派の祖でもあるこの男の名は――。 「……ま、松栄……?」 俺の呟きを耳にした男は一瞬驚いたように目を見開いたあと、ニコリと微笑んだ。 「いかにも。 拙者が狩野永徳でござる」
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