イマジナル・ファシリティー
つまりその窓から出ることは出来ないのだろう。

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つまりその窓から出ることは出来ないのだろう。 だとすると、私のやるべき事は一つしかない。 そう私は決意した。 そしてその時だった。 「何やってるんだ、橘」 「きゃっ!」突然の声に驚いた。 「何してるんだ?」そう言って佐々木はゆっくりと私の方に向かってくる。 私は言った「あなたこそ何やってるんですか」と聞く。 すると彼は答えた。 「何って仕事に決まってるだろ」と佐々木は言ったのである。 私は「それは嘘だ、あなたの仕事じゃない。 それは佐々塚の仕事です。 私を解放してください」と言った。 しかし佐々木は言った。 「何言ってるんだ、お前の解放はクライアントからの命令だ」 私は再び聞く「誰ですか?それは」 「それはCIAだ」私は聞いた「どうして私を?」 「金になるからだ」 「お金の為ならお前は平気で国を売るのか」私は怒鳴る。 「何怒ってるんだ」佐々木は不機嫌になる。 私は続ける「私は自分の国の人間を売ってまでお金を稼ぎたくない」 佐々木は不気味に笑い始める「面白い冗談だ」と言って私に近づいてくる。 「近づくな!」私は叫んだ。 佐々木は立ち止まる。 「お前は自分が何を言っているのか分かっているのか?」 「えぇ」 「そうか、じゃあ仕方がないな」そう言うと佐々木は再び歩き出す。 「何するつもり?」 「お前は俺のものになるんだ」「は?」 「お前は俺のペットになるんだよ」 「ふざけるな!」 「お前に拒否権は無い」 「嫌だ」 「大人しくしろ」そう言うと彼は私の腕を掴む。 私は抵抗するが、佐々木の手を振り解くことができない。 「離せ!」そう叫ぶと、彼は私の腕を掴んだまま走り出す。 私は必死に抵抗するが無駄だった。 私はそのまま部屋の外に出される。 そして私は佐々木に引き摺られるようにして連れていかれるのであった。 私は佐々木に連れていかれた先はどうやら倉庫のようだった。 彼は私をそこに放り投げると、扉を閉めて鍵をかけた。 私は閉じ込められたのである。 私は辺りを見渡すとそこは薄暗くてよく見えなかった。 「おい!開けろ!早く開けないと警察を呼ぶぞ!いいのか」私は扉をドンドンと叩くが反応はなかった。 「クソッ」私は悪態をつく。 そして私は仕方なくその場から移動することにした。 しばらく歩いていると、どうやらここは二階のようだ。 そして階段を見つけると、私はそれを降りていく。 すると目の前に扉が現れる。 私はその扉を開けるとそこにはまた別の部屋があった。 どうやらここはマンションの一室らしい。 私はその部屋に入るとそこには机と椅子が置いてあった。 そしてその先には扉が見える。 私はその扉を開けると、そこには大きなモニターとたくさんのパソコンが並んでいた。 そしてその前に一人の男が座っている。 その男は言う「おぉ、やっと来たか」 「あんたが俺をここに閉じ込めたんですね」 「そうだ」 「目的は何だ」「君の協力が欲しい」 「はぁ?俺はそんな事しない」 「まぁそう言わずに」 「それにしても随分と汚い場所に住んでますね」 「そうか?結構気に入ってるんだけど」 「そうか?汚いですよ」「そうかなぁ?まぁ確かに君の住んでいる所に比べたらそうかもしれないけど、僕はこの生活スタイルが気に入っているんだよなぁ、だってほら、なんかさ、楽しそうじゃん?」 「そうかも知れませんねぇ、でもやっぱりこの部屋は汚いと思うんですよね、もっと綺麗な所で暮らしましょうよ」 「そう?僕には分からないな、君はどう思う?」 「そうですね、この部屋はゴミだらけだし、ホコリもすごいし、ゴキブリとかもいるかも知れない、最悪です、こんな部屋で暮らすのは絶対に無理です」 「そうかい、ところで僕の話を聞いてくれる?」 「聞いてあげなくもないです」 「実はお願いがあるんだけどいい?」 「内容によりけりです」 「いやいや、簡単なことだよ、今、僕は困っていてね、君に協力して欲しい事があるんだ」 「どんなことでしょうか?」「あー、その、あれだ、そう、この前の件でちょっと問題が出てきてしまったんだ」 「なんのことでしょう?」 「あー、その、なんだ、えっと、あれだ、その、だからその、そう、この前、一緒に海に行っただろ、その時に撮った写真が流出してしまったらしくて、それをなんとかしたいと思っていてだな」 「はぁ?」 「それで、その、つまり、どうしたら良いのかわからなくて、とりあえず、この場は、その、そういう事にしておいてくれないか?」 「はぁ?」私は呆れてしまった。 すると男は私に近づいてきて私の手を握った。 「頼む」 私は思った。 こいつは何を考えているのだろうか?しかし、ここで断れば何をしてくるかわからない、私はそう判断すると男の要求を飲むことにした。 「わかりました、その、そういう事にしておきます」 すると男は笑顔になった。 「ありがとう、助かるよ、本当に良かった、これでどうにかなりそうだ、うん、これはもう解決したようなものだよね、よかった、ほんとうに」 私はその言葉に引っかかった。 「どういうことですか」 しかし、私の質問に対して、男は少し困っているようだ。 しばらく黙り込む。 何か考えている様子なのだが答えてはくれなかった。 そして男は言った。 それは奇妙な話だった。 私は最初その話を疑ったが目の前にいる男の真剣な顔を見て本当ではないかと思えてきたのだ。 しかしそれでも信じられない話だったし、仮に真実であったとしてもそんなことが実際に起こりうるものなのかと思うと、ますます信じがたい思いになる。 私も自分の身に起こっていることでなければ絶対に信じることができないだろうとさえ思うほどだったのだ。 だが私は目の前の男から感じ取ったものが、この話を信じさせるだけの力を持っているということを感じていた。 だからこそ、 「そうですね」と言った。 「そうかい、いやーよかったよかった」男は心底ほっとしたようで、表情を和らげた。 そして、そのまま私を残して立ち去ろうとしたので、思わず声をかけてしまう。 なぜそのような行動を取ろうと思ったのかは自分でもよくわからない。 「あの、どちらへ行かれるんですか?」 男は振り返ると私に向かって笑顔を見せた後こう言った。 「ああちょっとそこまでだよ」とそれだけ言って歩いて行く男の姿を見ながら私は何も言わずに男が消えた方へと歩き出す。 「おや?どうされましたかな?」 「すみません。 私にも同行させてもらえますか?」と私がいうと店主は少しだけ困ったような顔をしてこちらを見てきたので、私は言葉を付け足す。 「えっと、さっきの人が心配なので……もし何かあるなら放って置けないですし、だから一緒に行きたいなって思いまして……」 「あぁそういう事でしたらわかりましたよ、ただ危険かもしれませんので私の側を離れないようにして下さいね」と言ってくれて、それから私は店主と一緒に彼の後についていった。 「どうしてこのタイミングだったんだろうな」と私が疑問に思って聞くと、 「あぁ、それはですね。 あなた方が通報された直後だったのです。 その瞬間、私のスマホに着信がありました。 その電話の内容は私の雇い主が何者かによって襲撃されているという内容でした。 その時、私には二つの選択肢があったのです。 このまま通報を続けてこの店を閉店させて身を隠すか、それともあなた方を連れて行って共に逃げるか、私は後者を選んだ。 何故ならこの店を失うわけにはいかないからなんです。 しかし、私はその選択を間違っているのではないかとずっと考えていました。 しかし、あなた方のおかげでその迷いが晴れた気がします。 感謝しています」と彼は私に言った。 私は彼に言った。 「私達は何もしていないと思いますが」 すると彼は私に向かって微笑むと、 「いえ、あなた方は私にとってとても大切な存在です。 私達は同じ目的のために協力している仲間ではありませんか」 私は言った。 「そうですか」 すると彼は私に向かって言った。 「これからは、お互いに協力し合っていきましょう」 私は答えた。 「はい」 そして私は考えた。 「これは何だ?」と。 私は目を覚ますと辺りを見渡した。 そこはどうやら地下室のような場所で私は拘束されていた。 私は手足を動かそうとしたが動かない。 そこで、自分の腕を見ると鎖がついている事に気がついた。 私は何とか抜け出そうとするがうまくできなかった。 すると突然声が聞こえた。 聞き覚えのある声だと思ったら佐々塚であった。 彼が言うには今回のことはすべて自分の意志ではないと言うのだ。 自分はあくまでも雇われただけであって依頼の内容については一切知らされていなかったという事である。 それを聞いて私はホッとしたのだが次の一言で安心することが出来なくなった。 佐々塚は私を殺せば開放してやると言ったのである。 そしてそれを実行する為に部下の男達が部屋の中に入ってくるのだった。 その中には佐々木の姿があった。 佐々木が言うにはこれから我々は戦闘を行う必要があるとのことだったが意味がわからない、何故戦うのかという問いに対しては我々の敵が現れたからであると答えた。 しかも相手は武器を所持しているという事で彼らは防弾ベストを着用して武装していたのである。 また彼らが所持する武器も本物であるということであった。 またそれらを使って私達を殺そうとしていると言ってきたのである。 また、我々を殺した後には死体処理を行って何事もなかったかのように日常に戻る予定であるとも言っていた。 またその際に目撃者が出ないようにしなければならないことも重要視しているらしい。 そのためにこの場所を選んだのだと説明されたが、どう考えても理解不能な理由であるとしか思えなかったし、何より意味が分からなかった。 しかしそんなことを言っても無駄なのだろうとも思ったし、どうせ抵抗したところで意味がないであろう事も予想がついたため、ここは素直に彼らの言うことに従うことにしてその場に留まる事にしたのだ。 そしてしばらくすると扉が開き二人の人物が部屋に入って来た。 一人目は初老の女性であった。 彼女はスーツ姿でサングラスをかけており片手に鞄を持ち、もう片方の手にはアタッシュケースを持っていた。 二人目は若い男性であり身長は高い方だろうと思う。 黒いスーツに白いシャツを着込んでおり右手には拳銃を握っているようだったがそれを隠そうともしないのは少し問題があるのではないだろうかと思う反面こういう状況に慣れているのかもしれないと思い直すことにしたのであった。 女性は部屋の中央まで歩いてくるとこちらの方を向いて話し始めた。 どうやら彼女が今回起こった事件に関して説明するためにやって来たのだということがわかったのだが、その話し方はかなり機械的というか感情を感じさせない冷たい口調のように感じたが特に不快だとは思わなかったので気にしなかった。 それよりも気になることがあったからだ。 というのもこの部屋の中で椅子に座っているのは私と彼だけなのだ。 他の者達は床に座って壁にもたれかかっているだけだったのだから、私だけ椅子に座るというのは何だか居心地が悪いような気がしていた。 それに何よりも目の前の女性が持っている銃に対して恐怖を感じずにいられなかったというのが正直な感想だったが今は黙って話を聞くしかなさそうであったしその方が安全だという事がわかっている以上そうするしかないだろうと思っていると予想通りと言うべきか何というのかとにかく話が始まろうとしていた。 まずは自己紹介が始まったが名前は教えてくれず偽名を使っているらしかったのだがその理由も不明だったのでそれ以上は何も聞かなかったことにした方が良いような気がした為あえて聞くような事はしないようにしていたのだが、とりあえず話を聞いている内にわかったことがあるとすれば彼女達の目的は何なのかということだったがそれについてはまだわからないままであった。 なぜなら彼女達が求めているものは情報ではなく物なのだと言っていたことがどうしても理解できなかったからである。

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