作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 沈んでいく船を見ながら、リュートは考える。あの船を知っているとは、もしや敵の正体は。 「どうかなさいましたか、ベルト様?」  地上を目指しながら、コデロが変身を解く。 『なんでもない。それより、帰ろう。シャイニングフォームを使った。消耗も激しいからな』  リュートは、平静を装った。  陸地に到着すると、科学者のノア・ハイデンが声をかけてくる。 『コデロが腹を減らしている。カレー屋で一息つこう』 「はーい。もうでき上がっているわよ!」  声の方角には、移動販売のワゴン車が。ノームのミレーヌ・バンナが経営する『純喫茶ロッコ』は、移動販売の店へと変化した。  敵を倒すためには、各国へ遠征する必要がある。  そのため、絶対にコデロはごねると思った。  審議の結果、ミレーヌの父である科学者のダニー・バンナとノアが、移動車両を開発したのだ。 「資材などが不足してしまうかと思いましたが、相変わらずミレーヌのカレーはすばらしいです」  コデロはカレーライスを、鍋を空にする勢いで消費していく。 「ありがろう、コデロ! たっくさん食べてね」    ミレーヌが、コデロにおかわりをすすめる。 「よくやった。まったく巨大戦艦まで沈めてしまうとは。いよいよ、人間をやめてしまったように思えるよ」    ノアが、コデロをねぎらう。 「ベルト様と出会ったときから、私は人を捨てて鬼になっています」  悲しいことを、コデロはつぶやいた。 「しかし、私を人間に戻してくれたのは、他ならぬベルト様です。彼がいなければ、私は復讐に飲まれてグールかデーモンとなっていたことでしょう」 「キミは、元から人間だよ。罪人を憎む気持ちは、誰にだってある。ベルトくんだって、そう思っているよ」  もちろんだ。コデロは誰よりも人間らしい、心の美しさを持っている。闇を滅ぼせる力を、弱い人を守る力として使っていた。人間の自由のために。 「そもそもわたくしはエルフですから、人類だの魔物だのといった理論は興味ありませんわ」  あんみつを食べながら、イクスは自慢げに話した。 『身もフタもないことを言わないでよ、イクス』  店内が笑いに包まれる。 『楽しい席で悪いが、聞いてもらいたいことがある』  リュートは、話を切り出した。  ずっと気になっていたことを、今こそ語らねば。 「さっきも、考え事をなさっていたようですが?」 『そうなんだ。実は、敵の正体がわかったかもしれない』 「本当ですか?」 『ああ』  あの巨大戦艦は、リュートのいた国で開発されたいたものだ。  大昔だが。 『オレの知っている人物は、あの戦艦の設計にも携わっていたらしい』 「なんですって!?」 『おぼろ 信彦のぶひこ博士、世界的に有名な老科学者だ』

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません