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 どうにか近くの森まで辿り着いたコーデリアは、森の中を駆け抜けていた。  長時間泳いだせいで、体力を使い果たしている。 『食事を取ろう。もう死にそうだろ』  リュートは食事を取らなくても平気だ。  とはいえ、コーデリアは食べなくては。  ベルトの性能で、リュートはコーデリアのバイタルが分かるのだ。空腹度合いがピークに達していた。 「少々お待ちを」  氷の矢を川に放ち、魚を数匹捕まえる。だが、火を付けられない。 「炎の魔法を使えば、敵に知られてしまうかも知れません」 『なら、オレに考えがある』  リュートは人格を入れ替わり、持ってきた折れている剣を握る。  形見として手許に持っておきたいからと、コーデリアが持ってきた品だ。  折れた剣をナイフ代わりに使って、内臓を取る。  続いて、手の平に炎の魔法を出して、魚を炙った。 「これで殺菌できるはずだ。臭みも消えるだろう」  炙り焼きなので、やや食感は生っぽいが、しっかり焼いたので食べられる。  ちゃんと塩焼きにすれば、多少おいしいのだが。 『味覚は共有らしいな』 「そのようですね」  腹も満ちて、コーデリアに眠気が襲っている。  第一、彼女は丸一日も眠っていない。 『仮眠を取ったらどうだ? 敵が来たら、意識を変わろう』 「そうさせてもらいます」  早々に、コーデリアはまぶたを閉じた。  その間に、コーデリアのステータスを確認する。  ベルト状態のリュートは、謎の空間で立っている状態だ。  無数のウィンドウが周辺に現れており、様々なデータが見られる。  コーデリア・ドランスフォード、一六歳。彼女は魔法王国ドランスフォードの第二王女だ。  一〇歳の離れた姉と、五つ上の兄がいた。  第一王女ナタリアは、まだ一五歳という年齢で魔物に殺されたと書いてある。コーデリアが五つのときに。 『これこそ、彼女が魔物を屠る剣士となった理由か』  王国を滅ぼされる以前から、魔物を憎んでいたらしい。    両親と兄は、デヴィラン襲撃の際にコーデリアをかばって死んだ。  冒険者としても活動していて、主に魔物退治を生業としていた。最近では王国総出で、謎の秘密結社デヴィランの打倒に尽力していたという。  以上が、コーデリアの口から語られた情報である。 『戦闘レベルが異常だな』  武芸に関しては、達人に等しかった。剣術や魔法に長け、使える技が豊富だ。魔法に関しては、さっきの調理みたく応用も利く。  特撮ヒーローでも、ここまで器用なキャラは少ない。  あくまで、一般人基準だが。  この世界の冒険者なら標準レベルなのかも知れない。 『デヴィランの情報は……なしか』  全てが、謎に包まれていた。  世界を裏で操っている組織とあるが、どれだけの規模を持つのか。  数で攻めるタイプなら、個人では滅ぼせない可能性がある。 『とはいえ、あまり復讐に執着して欲しくないな』  リュートの口から、本心が漏れた。  できれば、コウガの力は正義のために使いたい。  コーデリアの愛らしい寝顔を見ながら、リュートはそう思わずにはいられなかった。

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