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 リュートは視線を、怪神のステッキに向けていた。  機動兵団たちを、竜巻で無力化しながら。 「むう、アレだけの数を魔法で動けなくするとは」  一〇〇体近い機動兵が、竜巻に飲まれている。脱出しようともがいているが、自由は利かない。 「どうして、デヴィランの目的が機動兵の操作ではないとお考えに?」 『操るつもりなら、製造工場にスパイを送り込めばいい。壊すも操るもお手の物だ』  本気で機動兵をデヴィランが戦力として考えるなら、内側から攻めるはずだ。襲ってきたところを攻撃なんて、非効率なマネはしない。 『彼らはあえて、コウガに攻撃「させようとした」のだろう。デヴィランの目的は、帝国の弱体化だ』  機動兵を壊せば、タダのマイナスだ。かかったコストを回収できず、国民が帝国へ不信感を抱く。  デヴィランの狙いは、そこだろう。 『思っていたより、フラグの回収が早かったな』 「おのれコウガめ。このアガリアレプトの作戦、すべて見抜いておったか!」 『お前たちの見込みが甘いんだ、トゥア!』  ステッキを蹴り落とそうと、コウガライジングは蹴りを食らわせる。 「ちい!」  怪神はステッキを手放すまいと、両手で掴んで応戦してきた。 「フィーンド・バスター・ソード!」  銃を剣に変形させて、接近戦へ。  敵は武器攻撃にも長けるのか、斬り合いになっても引かない。  さすが、最上級の怪人といえる。 「ふん!」  怪神のステッキが、コウガの武器を弾き飛ばす。  コウガは一瞬、武器の方へ視線を向けた。 「バカめ! くらえ!」  ステッキをヤリのように構え、怪神は突き攻撃を繰り出す。 『そこだ!』  あん馬の要領で、コウガはステッキの端を掴む。怪神の心臓部に、蹴りを見舞った。 「ぐおお!? ブエルブースターが!」  ヒトデ型の装飾を破壊され、怪神が後ずさる。  コウガは、竜巻の魔法を解く。機動兵たちに、暴れる様子は見られない。襲撃してきたデヴィラン戦闘員を撃退しつつ、住民の避難作業へと戻る。 『やはり、そのヒトデのような飾りが洗脳装置だったか』  怪神の戦闘パターンから、しきりに装飾をかばっている様子が伺えた。ならば洗脳用の装置はステッキではない。あの装飾だろうと察知したのだ。 「ぬう、ステッキに注意を向けているフリをして、弱点を見抜くとは」 『どうした、動きが鈍いぞ』 「こしゃくなあ!」  どうやらあの装飾が、怪神の本体だったらしい。一気に獅子怪神が弱体化した。あれだけ凄まじかった攻撃に、キレがなくなっている。  本体は肉体に膨大なエネルギーを供給する分、もろかったようだ。 『トドメだ。憤激・改リ・ボルケーノ!』  足を踏みしめ、コウガは右足の武器【憤激・改リ・ボルケーノ】に力を込めた。ドランスフォードに伝わる聖剣だ。今は、足甲へと姿を変えている。  自分の足に竜巻魔法をかけて、コウガは急上昇した。炎と風魔法を背にかけて、聖剣を足を突き出しつつ加速する。足甲からオーラを放ち、剣の形へと変化した。  魔法のパワーも、聖剣の浸透具合も、まるで今までと違う。  怪神相手でさえ、遅れを取っていない。 『コウガ・ライジングキック!』  聖剣の力を受けた渾身の蹴りを、コウガは怪神に突き刺した。 「むぐううううああああああ! デヴィランの神【ヘル】よ、お許しを!」  海へと吹っ飛び、怪神は上空で大爆発を起こす。

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