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「人類は、ヘルにとってエサでしかないと?」 「エサどころか、嗜好品のような存在でしょうね。いようがいまいが、なんとも思っていません」 「なんということでしょう? そんな奴らに、父上たちは……っ!」  女王から告げられて、コデロは憤る。  コデロにとって、デヴィランは討つべき仇だ。怒りは相当なものだろう。  彼女と肉体を共有しているリュートも、コデロの感情を受け止めていた。彼女を鎮めることが、自分の使命である。 「デヴィランは、『人類は総じて、ヘルに命を差し出すべき』という思想を持っています。もっとも彼らは、強いものを後ろ盾にした殺人行為に魅入られた狂人ですが」  デヴィランは、ヘルの兵隊に過ぎない。だが、殺しても構わないという思想にとらわれて、進んで人殺しに加担している。 「幼稚な発想だな。『カリスマが許可を出しているんだから、やってもいい』なんて。自分の行為に責任を取らなくていい、とでも思っているのだろう」 「そのとおりです。デヴィランがはびこる世界など、あってはなりません。  ノアの言葉に、女王も賛同した。 「デヴィランは、ヘルの支配の元で成り立っています。ヘルが滅びれば、おのずとデヴィランも瓦解するでしょう」 『つまり、【ヘル】という親玉を倒せば、デヴィランは滅びるのだな?』 「おそらくは」  それくらい、デヴィランは脆いワンマン組織らしい。 「しかし、行方はわかっていません。復活と言っても、どういう方法なのかも謎です。クイラス要塞を用いて、神を呼び戻そうしていたようですが、それでも出力は足りていなかったようです」 「当面は、ヘルの復活しそうな場所を探すことになりそうだな」  女王の話を聞きながら、ダニーがアゴに手を当てる。 「その件に関しては、我が息子たちに探させています」  エルフの王子であるクレ氏、アテムたちアインヘリヤルが、捜査にあたっているという。 「そうそう。イクスよ。あなたの故郷、レプレスタの侍女だったレンゲも、アインヘリヤルとしての力を得ましたよ」 「すばらしいですわ。これでレンゲも、妹を守れる力を得たのですね」  イクス自身のためではなく、妹のために力を奮って欲しいという優しさが、イクスの言葉からにじみ出ていた。 「結構なことですが、ムリだけはしないようにとお伝えくださいませ」 「心得ました。また困ったことがあったら、いつでもこちらへ戻ってらっしゃい」 「貴重な情報を、ありがとうございます。では、失礼いたしますわ」  エルフの森を抜けて、リュートたちは再びデヴィランの討伐へ向かう。  だがリュートは、コデロが今だに怒りを沈めきれていないことを気にしていた。

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