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 快適な朝を迎える。体調は万全だ。 「おはようコデロ。朝ご飯食べるでしょ? 準備できてるから」  一階に出ると、ミレーヌが朝食を用意して待っていた。 「トレーニングするんですって? それじゃあ、体力付けなくちゃ」 「ありがとうミレーヌ。いただきます」  食事を終えて、コデロは待ち遠しいとばかりにソワソワし出す。 「ごちそうさまです。では早速外へ」 「待った。その前に、ミレーヌがいるうちに身体検査をしたい」 「身体検査?」 「コウガって、素体が女だろ? 俺じゃ触れない」  ダニーは、コウガの素材を確認したいそうなのだ。  いくらリュートが入れ替わっているとしても、身体はコデロのものである。うかつに触れられない。 「何を悩むのです、おやっさん。そういうことでしたら、ご自由に」  おもむろに、コデロは服を脱ぎ出そうとする。 「ダメダメダメーッ!」  ミレーヌが乱入し、コデロの服の乱れを正す。 「自分の身体は大切にしてよね、コデロ! 相手はヤモメなのよ! 油断してたら食べられちゃうわ!」 「食わねえよ! どんだけ女に飢えてるんだっての! 俺が愛するのはおっかあだけだ!」  懸命な説得により、ボディチェックはミレーヌ担当になった。  コデロは、コウガに変身し、棒立ちになる。 「よく見てなかったんだよなぁ。コウガの全身像って」  ダニーが、コウガの纏う鎧を撫でる。 「何の金属だ? 見たことないぜ」  続いて、ダニーは鎧のつなぎ目をくまなく調べた。 「もう、目つきがいやらしいわ!」 「うるっせえな! 細かく見ないと分からんだろうが!」  ミレーヌに指示を出し、鎧のスキマに指を入れさせる。 「少しくすぐったいですね」 「優しくするから、ガマンしてね」  鎧のインナーに、ミレーヌは指を滑らせた。 「素材は分からないけど、インナーは黒いわ。フルプレートメイルと同じような素材材じゃないかしら?」  インナーを着ているのは、体感で知っていた。地肌ではない。つまり、まったく別の生命体になったのではなく、コウガはあくまでも外殻なのだ。 「よく伸びる素材ね。切り取れば、素材は分かるかしら。といっても、無理そう」  ミレーヌが、インナーに包丁を突き立てる。  インナーでさえ、刃物を通さない。素材は丈夫というより、柔軟だ。 「きつくない、コデロ?」 「いいえ、まったく」    特殊な素材らしく、弾力があって通気性もいい。  鎧のインナーより、遥かに優れた素材のようだ。 「簡易モードでも、同じ結果だろう。よし、もういいぜ」  コウガは、変身を解く。 「どうだ、変身したら消耗したか?」 「特には」 「よし、次は外でチェックだな」  外でトレーニングをいう段階で、ミレーヌが声をかけてきた。 「待って二人とも。はい」  ミレーヌは、ランチカゴをコデロに持たせる。 「これは?」 「お弁当。サンドイッチが入ってるわ。本当は、コーヒーもあるとよかったんだけど」  ランチカゴから、パンのいい香りが漂う。 「ありがとうミレーヌ。楽しみです」 「気をつけて行ってらっしゃい」  コデロが弁当箱を受け取ると、ダニーがクスリと茶化すように笑う。 「随分と色気づいたな」 「もう、おちょくらないで! コデロ、お父さんの分も食べちゃっていいからね!」  微笑ましい親子のやりとりに、コデロは思わず吹き出す。

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