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「な、なぜだ!?」  信じられないのは、怪神だけじゃない。リュートもだ。  基本のレイジングフォームだけで、怪神を退けるとは。 「我々上位のデヴィラン怪神は、コウガの戦闘データを元に、コウガをも凌駕する力を持っているはずだ。どうして遅れを取っている!?」 「いつのデータですか。それは?」  コデロは、怒りに震えていた。 『どうしたんだ? 様子がおかしいぞ』 「エルフ女王の話を聞いて、頭にきました。彼らは、根絶やしにせねば」  デヴィランにとって、逆らうものは死すべき存在なのである。  人の命を弄ぶことに、デヴィラン共はなんのためらいもない。彼らにとって、人間をしに導くことは教義だから。  そんなことを、コデロが許すはずがなかった。 「我々は、日々アップデートされているのです。どれだけ、あなた方がコウガのマネをしても、我々は常にその先を行く。未来を掴むのは、我々人間の方です」  とはいえ、完全に復讐心に染まっているわけではない。コデロは、本当に恐ろしいことがなにかを知っている。 「てめえ!」  サソリ怪神が、頭部の尾を振り下ろす。  コウガは、サソリ怪神の尾をひっつかんだ。 「バカめ! これで毒が回って……回らない!」 「あなたのご自慢だったスピードなど、こんなものです」  すでに、コウガは尾の先端を切り捨てていた。  切られた先端が、地面でピチピチと跳ねる。  無表情で、コウガはその先端を踏み潰した。 「フォランスフォードを滅ぼした罪は、重いですよ。思い知りなさい」  暗いトーンで、コデロは言い放つ。 「バカどもの遺伝子は、受け継がれるのだな! デヴィランの思想を理解できぬ愚か者め!」  サソリ怪神が言い放った瞬間、コデロは尾を引っ張った。  たった一瞬で、怪神との距離が縮まる。 「しめたぞ。デーモンキック!」  反動を利用して、サソリ怪神が足刀蹴りの構えを取った。  しかし、コデロは跳躍してかわす。  サソリ怪神の顔が、コウガの真下に。 「……コウガ・レイジングキック」  コウガは、急降下する。怪神のノドを、力の限り踏み潰した。  断末魔すら上げさせず、相手のもっとも痛むところをピンポイントで砕く。  コウガの魔力が怪神の隅々まで行き渡り、増幅していった。敵の体は、破裂寸前だ。  声すら上げることもできず、怪神は爆死した。 『すごいな。いつの間にこんな強く』 「別にたいしたことはしていません。あなたと同じですよ。自分の経験値を、攻撃力に割り振ったまで」  リュートは戦闘で得た経験値を、戦闘力や魔力に割り振っていた。  コデロが寝ている間に、戦闘力のチェックをしていたのである。  コデロも同様に、レイジングフォームへ力を配分していたのだろう。  もはや、今のレイジングフォームは初期状態とは比較にならない。    だが、一つだけ変わらないこともあった。 「アテム、被害状況は?」 「軽微だ。住民に被害はないぜ」 「よかったです」  コデロは変身を解く。生存者の少女を、コデロは抱き上げる。その顔は、慈愛に満ちていた。 「ベルト様、誰も悲しまなくていい世界を、みんなで作りましょう」 『ああ』   コデロの心は、復讐心だけに染まっているわけではない。

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