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 店に戻ったコデロは、イスリーブへ向かう準備をしようとした。 「その人物は何者です?」 「ここから南東に向かった先にある、イスリーブ王国領土にいる貴族様だ」  イスリーブ王国は、ドランスフォードより文明が発達した国家らしい。  前の国王は第一王子が急死したショックで引退して、若き第二王子に代替わりしたという。 「女房がいながら、女を買っている。また、人身売買を盛んに行っているらしいってウワサさ」  あくまでもウワサに留まっているそうな。    調べた人物もいた。しかしある者は川に浮き、ある者は堅く口を閉ざす。脅迫されたか、袖の下を受け取ったかだろう、とのこと。 「だが、ヤツがデヴィランと絡んでいるのは確かだぜ。なのに、討伐隊が結成されないから、野放し状態なのさ」 「どこです、伯爵のアジトは?」 「屋敷、なぁ。イスリーブ王国にあるんだが。悪い国じゃないんだ。そこの侯爵が抱えている騎士団は、いいウワサを聞かないな」  表向きは、魔物と戦っている精鋭部隊だとか。  だが裏ではデヴィランと繋がり、よからぬことを企んでいるらしい。 『次の目的地が決まった。イスリーブのロデントス伯爵邸だ』 「そこに、私の仇がいるのなら」  早速準備に取りかかろうとしたが、ダニーに止められた。 「まあ待て。もう少しゆっくりしていけ」 「ですが、私がここにいても、何もできることはない」 「あるさ。俺の研究に付き合ってもらいたい」  ダニーが意外なことを言う。 「そんな場合では!」 「いや、そんな場合なんだよ。何の準備もなく、ロデントスに向かってみろ。ヤツらの思うつぼだ」 「しかし」 「あいつらの科学力がどれほどなのかも、分からないんだぜ!」  もっともな説得をされ、コデロは黙り込む。 「第一、お前さんは自分のことを知らなさすぎる。こっちだって、どうやってコウガを手に入れたのか分からないんじゃ、面倒も見られないんだぜ」  実のところ、リュートも同じ意見である。  下手に動くより、自分に何ができて何ができないのかを把握してからでも遅くはない。 「わたしからもお願いするわ。ゴハンのアテもないんでしょ? 何日でもいていいのよ」  ミレーヌからも、うれしい言葉をもらった。 『すまんコーデリア、替わってくれ』 「分かり、ました」  コーデリアとリュートが、人格を入れ替える。 『知っていることは全て話す。おやっさん、協力してくれないか?』  コデロの声帯を借りて、リュートはダニーに話しかけた。  ダニーなら、コウガのポテンシャルを引き出せるかも知れない。 「ん? 口調が替わったな」 『それも含めて全部話そう。頼む』

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