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 エスパーダは、これ以上強くはならない。どれだけの怪人を倒しても、エスパーダの強さには限界がある。しかし、ノア・ハイデンの強力によって、新たなパワーを手に入れていた。 「鉱山で採掘した鉱石を加工し、新たな武器を手に入れました。その名も、ヴァイス・サーベル!」  バラのような真紅のサーベルを、アノマロカリス怪神に突きつける。かつての武器より装飾が増えて、刃の幅も広くなっている。色がバラのように鮮やかな紅で染まっていた。  ヴァイス・サーベルとは、【悪の剣】という意味だ。  イクスの本質は、善ではない。合理的な考え方によっては、  悪に染まるだろう。悪をさらなる悪で撃退するには、この名がふさわしい。  妹を守れるなら、悪にでもなる。  その歪な感情が、この剣を誕生させた。 「武器がパワーアップしたからと言って、本人が強くなければ意味はなし」 「それは、この剣を味わってからおっしゃいなさいませ」  フェンシングの構えから、イクスは切り込んでいく。 「ぬう!?」  アノマロカリス怪神に、焦りが生まれていた。 「武器が変わっただけで、ここまで動きが。追加武装などなにもないのに。そうか、武器をリアクター、増幅装置として活用している?」 「そうですの。この武器の性能は、わたくしの動きをさらに加速させる装置にありますのよ」  この剣から放たれる魔力こそ、追加武装というわけだ。 「面妖な。その魔力があれば、たしかに我とも渡り合えよう。面白い。これでなくては!」 「その上から目線も、ここまでですわ!」  イクスはさらに猛追撃を繰り出し、アノマロカリス怪神になにもさせない。 「我は、究極の力を得たはず!?」 「人間をやめて完璧になったと思い込んだ時点で、あなたは成長をやめた」  イクスは弱さを克服しようとせず、受け入れた。だから、さらに成長できたのだ。 「あなたの敗因は、弱さを認められなかったことですわ」  アノマロカリス怪神の油断を、イクスは見抜く。  怪神の太刀筋に生じたスキを突き、イクスは剣を滑らせた。  敵の心臓に、イクスは剣を突き刺す。 「とどめですわ。続きは地獄でどうぞ」  踏み抜いた脚から、蹴り足に力を込めた。脚に貯めた魔力を開放し、イクスは怪神を刺した剣を蹴り込む。  サーベルから流れ込んだ魔力を体内に叩き込まれ、アノマロカリス怪神は活動を停止させる。 「見事だ。だが、それでもあの女には勝てぬ! あの女はヘルに近づいている。いや、近づきすぎて、ヘルすら越えて……」  怪神が虚空を見上げて、棒立ちのまま爆発した。  爆風は、デヴィランの基地さえ道連れにする。 「レンゲ、逃げますわ!」 「はい。お嬢様!」  レンゲと共に、外へと脱出した。  二人でアジトから抜け出すと当時に、基地の天井が崩れ落ちる。 「やりましたわね」 「はい。お見事でした」 「まだです。妹を守るという永劫の使命がありますわ」  コウガの状態も気になった。 「ノーマン、急いで帰りますわよ」 『うん。なにより、この基地には躯教授の姿がなかったのが気になる』

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