大勢のドワーフ科学者が、地下大広間に集結している。 中央には、オオカミ大怪人が。眠っているようだ。 「き、貴様はコーデリアッ!」 ドワーフの一人が、コデロを見て驚愕した。 「私を知っているなら、好都合です」 「貴様のせいで、我々の計画が早まることになった。許せん!」 リーダーらしき老ドワーフが、忌々しい顔でコデロを睨む。 「許せないのは、こっちです。変身!」 コデロは、レイジングフォームへと変身する。 「トゥア!」 直ぐ側にいた、ドワーフの一人を蹴り飛ばす。 壁にめり込んで、ドワーフは絶命した。壁に取り付けられた、計器類を犠牲にして。 「バカな。我々も強化されているはず!」 「レイジングフォームが、パワーアップしているだと⁉」 「まさか! そんなことはデータにないぞ!」 ドワーフたちが、恐れおののいている。 リュートの分析通りだった。レイジングは、強敵との戦いを経て成長しているのだ。決して、弱体フォームなどではない。 「なんでも構いません。ドランスフォード家の仇です。全員あの世に行きなさい!」 フィーンドバスターをベルトから呼び出し、ドワーフをハチの巣にした。 「どれほど、この時を待ちわびていたことか!」 「王に気づかれなければ、計画が早まることなく、お主たちも生きながらえていたものを!」 身勝手な理由をつけて、ドワーフたちが怒りをぶつけてくる。 「なんたる理不尽な。ドランスフォードは、あなた方のせいで消えたというのですね。ならば、あなたたちにも同等の罪を背負っていただきます!」 「死ぬのは貴様だ! デヴィランに楯突いた時点で、貴様ドランスフォードに未来な――」 「もう口を利かないでいただけますか?」 悪態をつくドワーフのノドへ、蹴りの一撃を喰らわせる。 「いやだ、来るな!」 「ひるむな! 我々はデヴィランのメンバーとなったのだ。選ばれし精鋭!」 リーダー格の老ドワーフが、周囲を鼓舞した。 「ひいいいい!」 悲鳴を上げて、逃げ出そうとするドワーフたち。 コウガは、ドワーフの群れを容赦なく後ろから撃つ。 後頭部を撃ち抜かれたドワーフが、ズルズルと倒れた。 「一匹残らず駆除します。もう、あなた方を人とは換算いたしません」 もう誰も、コデロを止められない。リュートでさえも。 「貴様こそ我が野望にたかる羽虫の分際――」 「羽虫は、あなたです」 ハンマーを振るおうとしてきたドワーフの頭を、コウガは銃で吹き飛ばす。 「あとは、あなただけです。羽虫」 「ええい! 我々が作った魔物のトレーニング相手で一生を終えていればよかったのだ!」 コウガは、ドワーフをハチの巣にする。 銃弾を受けてもなお、リーダーの老いたドワーフは引き下がらない。 「我々の悲願、地球の技術取得の邪魔はさせぬ!」 老ドワーフが、モグラ怪人へと姿を変える。 「見よ、これぞ魔物が一人【アナザー・ドワーフ】よ!」 戦闘能力自体は、大したことがない。とはいえ、ドワーフだ。タフで動きもいい。 「なぜそこまで、異界の文化が必要なのです?」 「知的好奇心の充足こそ、我がドワーフの宿願であるからだ!」 コウガの剣攻撃を、モグラ怪人は両手の爪で防ぐ。 「貴様になど分かるまいて。終始時代遅れの技術屋として、陰で罵られる者の苦しみなど!」 「分かりたくもありませんよ。自ら新世代に歩み寄ろうともせず、いたずらに変化を拒絶した老人たちの戯言など!」 「黙れ!」 モグラ怪人が、むやみやたらと爪を振り下ろす。強引ながらも、コード類に注意を払う。 予測不能の攻撃に、コデロも踏み込めない。 「我々は地球へ趣き、起死回生を狙う! 新たな技術を得て、再びスマートイレブンは返り咲くのだ!」 「そのために、我らドランスフォードは犠牲となった!」 「あんなわからず屋集団、一家断絶になって当然だ! 自分たちだけで利益を独占しおって。我々が有効活用してやると、どれだけ教えてやったか!」 なんという逆恨み。ひどすぎる。 彼らの欲望の犠牲となったなんて。 『コデロ、容赦する必要はない』 「もとより承知の上」 コウガは、スネに取り付けてある『憤激・改』を発動した。 「あなたには、消滅していただきます!」 「死ぬのは貴様だ! 肉体パーツを生体サンプルとして、一生モルモットにしてくれる!」 モグラ怪人の両爪が、光子の輝きを放つ。 「ふははは! 貴様の剣の数倍は威力があるぞ! 喰らえ!」 バッタのように高く跳躍し、怪人が爪を振り下ろした。 コウガは、ハイキックを撃ち込んだ。爪を粉々に砕く。 「なんだと⁉」 「だから言ったでしょう。あなたは時代遅れなのだと」 この武器を、誰が作ったと思っているのか。 最も優秀なドワーフの手によって作り上げられた武器が、過去の栄光にすがる者の凶刃に遅れを取るはずがない。 「地獄へ落ちなさい。レイジングキック!」 後方回し蹴りを、モグラ怪人の胸に打ち込む。 「許すまじコウガ! ドランスフォードめぇ!」 モグラ怪人が、爆発する。 だが、装置が止まらない。 [いかん、このままでは! コ――] ノアが何かを言いかける。 だが、そのときには、コウガは青白い光に包まれていた。
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