作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

「見よ、港で働く者たちを」  港では、様々な船を迎え入れていた。  漁から帰ってきた船が、魚の入った箱を降ろす。  客船から、家族連れやカップルが多数降りてくる。  水平や漁師たちも、慌ただしく動いていた。 「すべて、お主が守ってくれたのだ。心から礼を言う」 「わたしは、当然のことをしたまで。デヴィランは敵です。その敵を排除したにすぎない」 「それでも、我々にとってはヒーローだ」  ミコガミ帝の気持ちは、ありがたい。しかし、どこかモヤモヤする。 「民も、戦っています。我々は戦力にはなれますが、魚を釣ったり船の乗客に気を利かせたりはできません」  ウツボ怪神と戦ったのは、リュートたちだけではない。散っていった者たちもいる。  みんなが英雄なのだ。英雄はどこにでもいて、一人ひとり助け合っている。  リュートもコデロも、力が強いだけに過ぎない。 「そうだな。強い英雄だけ見ていても、大局を見落とすのだな」 「ですから、機械兵の調節は、お考えになったほうが」 「あれは完璧に仕上げたと思っていたのだが?」 「ダニーや、ノア・ハイデン教授の知恵をお借りしてみては」  しばし考えた後、ミコガミ帝は首を縦に振った。 「考えてみよう。その学者殿をこちらへ――」  話そうとしたミコガミ帝を、コデロはかばう。  瞬間、港に爆発が起きた。 「ヒャーッ!」  客船から出てきた紳士が豹変し、ステッキから火球を放ったのである。  せっかく釣ってきた魚は焼け焦げ、客たちにもケガ人が出た。 「フン、要塞国家と呼ばれしデーファンも、内側から襲撃されてはもろい」  火球を放った張本人は、ステッキをくるくる回しながら惨劇を楽しんでいる。 「貴様……」 「我が名は獅子怪神【アガリアレプト】。ミコガミ帝、貴様の命をもらいに来た……化身!」  紳士はステッキを額に当てて、足を軸にクルリと一回転した。  現れたのは、ライオンの顔をした黒い燕尾服の怪神だ。胸に赤い五芒星型の装飾がついている。 「そう簡単にやられはせん! 機動兵よ!」  一〇体の機動兵が、上空から現れた。機動兵のうち五体が獅子怪神を取り囲み、もう五体がミコガミ帝を守る。 「バカめ。貴様らの謎……調べてくれる! ヒャヒャヒャヒャーッ!」  ステッキを額に当て、獅子怪神が念じた。  なんと、機動兵が急に苦しみだす。青かった目が赤くなり、コデロやミコガミ帝を襲い始めた。 「な、なんと!?」 「ヒャヒャーッ! これが我が能力よ。すべてを見通し、すべてを操る!」  機動兵の力は、コデロでも倒せるほどだ。しかし、これだけ数が多いと。  逃げるコデロの正面から、銃撃が放たれた。  だが、標的はコデロたちではない。後ろにいる機動兵たちだ。 「ミコガミ帝、こちらですわ!」  前から来たのは、エスパーダことイクスだ。 「頼みますよ」 「おまかせを、コデロ」  エスパーダはミコガミ帝を後ろに乗せて、走り去る。 『コデロ、オレに任せてくれ』 「ご武運をベルト様」 『変……身!』

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません