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 それ以降の数日は、再び特訓の日々を繰り返す。  ノアの見立てでは、やはりライジング・フォームは魔法メインの形態らしい。対してレイジングフォームは物理的攻撃メインだという。 「どちらが上だとか下だとかではない。使いようだな」  コウガの戦闘スタイルを観察しながら、ノアはそう分析した。 『純喫茶ロッコ 二号店』の隣にできた、研究所へ足を運ぶ。ここは「ハイデン・ラボ」と呼ばれ、表向きは装備品を売っている。実際は、コウガの研究に勤しんできた。  店にはノアとダニーの他、ヘインズリー夫妻やボディガードのアテムがいる。 「月の石と、このベルトとの関連は?」 「古代史では、太陽と月の両方を併せ持っていたという。伝承のとおりなら、キミのベルトには【太陽の宝玉】が込められているはずだ」  ベルト内に宝玉があるのは、リュートが確認済みだ。 『二つ石が揃ったわけだな。では、その力を最大限に発揮する方法は?』 「分からない」  やはり、そんな都合よくパワーアップする方法などは判明しないか。 「吾輩だって、超天才ではない。何の文献もなく、答えを引き出せはしないさ。なんせ元は技術屋だからね。考古学者ではない」  現行でどの装備を強化するか、判断ことはできる。  でも、過去の文献をさらって答えを導き出すことに関して、ノアは本来専門外だという。 「ラキアスでも不可能だろうね。あの子は現場主義だし、歴史の成績も悪かった」 「わたくしは、現場主義ですから」  現地で治療や、戦略を立てることには、たけているらしい。司令官タイプなのだという。 『ライジングフォームに変身した時、月の力を吸収した印象があった。月と何か関係があるのか?』 「その石は、月と同じ成分の銀から作れられたんだ。月の魔力が、その石に呼応したらしい」  月の力を含有することになったコウガに危機が訪れ、防衛反応が働いたのでは、と予測する。 「私としては、早くボルケーノを修復してほしいのですが?」  歴史に挿して興味のないコデロは、早く実戦に向かいたくてウズウズしているようだ。 「まあ待ちなって。吾輩だってなるはやで仕事をしている。今は待つしかないんだ」  剣は炉に入れられ、不純物を取り除いているトコロらしい。それだけで完成するが、数日はかかる計算だという。 「随分と、刃が短くなっているような気が」  哀れ、ボルケーノは刃の部分がナイフサイズになっていた。 「仕方ないだろ。使える部分はこれしかない。むしろ、十分すぎるよ」  銀色に光る溶けた鉄が、炉の下から流れ出ている。 「あれは何ですか? 溶けた金属にしては、変わった色ですが?」 「ミスリル銀だよ。あの剣には邪魔だから、取り除いている」  コデロは激昂した。 「どういうことです! ミスリル銀さえ取り除いているとか、何をお考えで!」  魔法銀ミスリルは、魔術や秘術を扱う武器には欠かせない、貴重な魔法金属だ。物理的攻撃力も高い。  なのに、ノアは必要ないという。 「刃は単なる、光子剣放出装置だ。これでいいんだよ。ミスリルは、別の用途で使うよ」  ノアいわく、純度の高い光の刃を放つには、周辺の不順な金属を取り払う必要があるとか。 「出力不足だったのは、余計な金属がまとわりついてるからだ。剣として扱うためにね」 「ミスリルでさえ、不要だというのですか?」 「刃としては、ね。それだけ、光子剣はデリケートなんだ」  魔法銀ミスリルの周辺に、本来光子を放出する特殊金属をまぶした程度だったのだ。剣の体裁を取り繕うために。  おそらくスマート・イレブンの面々は、光子を放つ金属類を、単なる魔力付与「エンチャント」程度にしか考えてなかった、ミスリルの方が頑丈だったからだろう、と見える。 「吾輩が奴らを三流だと言った所以は、そこだ。この剣は、どれだけ丈夫で切れ味がいいかしか考えられてない! これがミスリル以下だって? 冗談じゃない! 光子を放ってこそ、この剣はミスリル以上の切れ味をもつというのに!」  ノアは、相当ご立腹だ。いかにこの武器がぞんざいに製造されたか、雄弁に語っている。 「とにかく、もう少しの辛抱だから、安心したまえよ」  気長に待つしかないようだ。   資料を持った執事が、部屋に入ってきた。 「冒険者よりの報告です。デヴィランと思しき集団が、ドランスフォード領地を塞ぐ砦を建設中とのことです! ヴァージル王子らしき人物の目撃情報も」  コデロは、思わず立ち上がる。今が、ヴァージルを叩く絶好の機会かも知れない。魔王を倒せば、ドランスフォード奪還に一歩近づく。 「焦るな、つっても行くよな? お前さんなら」  ダニーは一つ、ため息をついた。 「当然です。アジトを作っている理由は、おそらくドランスフォードに近づけさせないためでしょうし」 「どのみち調査に行かなくてはならん」  コデロはダニー共々、アジトへ向かうと決める。 「わざわざご登場なすったってことは、ワナかも知れん」 「だから、予防線は張った。冒険者たちには、この街が襲われる可能性があると通達してある」  ドレイクは、ダニーの忠告がなくても動いていた。 「仕事が早いな」 「怪人に対抗できるのは、コウガだけだ。コウガを直接ぶつけるなら、親玉がいる可能性の高い方がいいだろう」

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