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迷路のような入り組んだ道からなんとかして抜け出せた俺はすでに疲労困憊だった。 さらに空腹で目が回りそうだった。 「もうモンスターは出てこないでくれ……」 そう祈りつつ、出口を目指す。 そんな折、ポケットの中にしまっていた使い魔の卵が一瞬ふるえたような気がした。 「ん?」 気のせいかとも思ったが、しばらくするとまたもその感覚を覚えた。 俺は一旦立ち止まると、ポケットに手をやり使い魔の卵を取り出してみる。 すると、卵の表面には少しだけだが、しかし明らかにひびが入っていた。 「げっ、割れてるっ……」 ポケットに入れっぱなしにしたままモンスターとの戦闘を繰り返していたからだろうか。 「まいったな。こんな状態でも、まだ売れるかな、これ……?」 などと心配する言葉を口にしたまさにその時、 ピシピシピシ……パカッ!! 使い魔の卵が割れ始めたかと思うと、次の瞬間、内側から勢いよくモンスターが顔を出した。 「うおっ!?」 驚きのあまり、思わず持っていた卵の殻ごとそのモンスターを宙に放り投げてしまう俺。 だが、すぐに慌ててそれを地面に落下する寸前でキャッチする。 「ふぅ。危なかった……」 俺は手の中のモンスターに視線を落とすと、 『ん、あなたがおいらのマスター?』 首をかしげつつ俺を見上げているモンスターと自然と目が合った。 そのモンスターは、当然のように人間の言葉を発していた。 まるでドラゴンを可愛くデフォルメしたようなそいつに、 「あ、ああ」 呆気にとられながらも俺がそう答えると、そのドラゴンの赤ちゃんみたいなモンスターは、満面の笑みを浮かべこう言った。 『えっへへ。おいら、ベビードラゴンのベビーだよ。ってわけでこれからよろしくね、マスター!』

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