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「木崎さん、このモンスター知っているんですか?」 正面で浮遊しているゴールドメタルスライムをみつめながら、岸田さんが訊ねてくる。 「ああ。よく知ってるよ。俺のダンジョンにはよく出てくるからね」 「そうだったんですか」 「このゴールドメタルスライムは動きがとても速くて、倒すのはかなり厄介だけど、倒せれば沢山の経験値がもらえるんだよ」 「木崎さんは倒したことあるんですか?」 俺は振り向き、岸田さんの顔を見ながら「うん。数えきれないくらいね」と答えた。 「すごいです」 俺の言葉に岸田さんは驚きの顔を見せる。 その眼差しは尊敬と羨望が入り混じっているように思えた。 「いやいや。っていうか、てっきりゴールドメタルスライムは俺のダンジョンにしか出てこないモンスターだとばかり思ってたよ。岸田さんのダンジョンにも出現するんだね」 「はい。でもさっきも言いましたけど、追いかけ回されただけで倒したことはないです。わたしにはとてもじゃないですけど、つかまえきれない速さだったので」 その気持ちはよくわかる。 俺だって最初の頃は、ゴールドメタルスライムの動きにまったくついていけなかったからな。 そんな俺も今ではだいぶ楽にゴールドメタルスライムを狩ることが可能となっているが。 そんな会話をしていると、 『ピューィ!』 ゴールドメタルスライムは超高速で飛行し、通路の奥へと消えていった。 「逃げちゃいましたね」 「まあいいさ。ゴールドメタルスライムなら俺のダンジョンでいくらでも遭えるから」 俺は言い置いて、 「それより、もっと地下深くにはどんなモンスターが出てくるのか、俄然興味がわいてきたよ。ありがとう。このダンジョンに誘ってくれて」 岸田さんに顔を向ける。 それを受け岸田さんは、 「よかったです。木崎さんに喜んでもらえたようで。この前のお礼、まだしていなかったので気になっていましたから」 そう言って破顔した。 ◆ ◆ ◆ その後、俺は岸田さんとともにさらに深い階層へと足を運んだ。 すると、オーガやハイオーク、フレアドラゴンなどの見たこともないモンスターが俺たちを待ち構えていた。 俺は岸田さんの身の安全に注意を払いつつ、それらを打ち倒していった。 そして途中休憩を挟み、ダンジョンに潜って丸二日が過ぎようとした頃、 「なんか、この階に下りたら空気が違う感じがするけど」 「はい。明らかに雰囲気が変わりましたね」 俺たちは地下100階へとたどり着いていた。

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