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「まったく昨日は何だったんだ......」  早朝、アパート脇の所定の箇所へゴミ出しをしながら、猫実好和は溜息混じりに呟いた。   「今日は二日目やで。ウチは店長なんや!頑張らなあかんでホンマ!」  早朝、アパート脇の所定の箇所へゴミ出しをしながら、ネコ娘は気合いを入れ直した。 「......あっ!」  二人の声がユニゾンする。 「あ、あなたは?猫カフェの店長さん?」 「じ、自分、昨日のお客さん?」 「店長さんもここのアパートに住んでいるんですか?」 「あんさんもここに住んどるんか?」 「な、何という偶然なんだ」 「ほ、ホンマやな......あ、スマホ鳴っとる!ちょいと失礼!」 「あ、はいどうぞ」  アミ店長は電話に出た。 「......ほ、ホンマか!せやけど、人数ギリやったから代わりおらんな......ま、まあええわ!あとはウチでなんとかするわ!」  猫実好和は何となくどうすればいいのかわからず、居心地悪そうにその場にじっとしていた。  眼前のアミを見ながら、彼は思う。 ーーーあの耳と尻尾...本物なんだよな...(電話の位置は俺らと変わらないんだな)。  まさか本物の猫娘がこんな身近に存在してたなんて......今までなんで気がつかなかったんだろう?  ただのコスプレとしか思ってなかったとか?だから周りもなんとも思わないのか?  えっ、なんか日本て改めてスゴイ国だなーーー  やがてアミは電話を切ると、彼の前でどうしようどうしようとアタフタし始めた。  猫実は何だかバツが悪くなり、よくわからない義務感に駆られ声をかける。 「あ、あの、どうかしたんですか?」  アミは振り向くと、唐突に何かを閃いたように目を大きくして応える。 「あんさん!猫好きやろ!?」 「え?そ、そうですけど?」 「ほな、今日、ウチの店にバイト入ってくれへんか!?」 「お、俺がですか?」 「せや!猫好きなら問題ナッシングや!」 「いや、猫好きって言っても、俺が好きなのは本物の猫で、猫娘ではないんですが...」 「せやからホンモノのネコ娘が好きなんやろ!?ヤラシイやっちゃな!おっと、失礼失礼。にゃはは。てことで...ウチと一緒に店行くでぇ!」 「あ、あの、承諾してないですけど...」 「優柔不断はアカンで!ええやろ!?ええやろ!?ええやんなぁ!?」  アミ店長は、一昔前の歌舞伎町のキャッチのようにグイグイ押しまくる。 「あ、えっと、はい...」  彼はノーと言えない日本人だった。 「ほな決まりや!!よろしくな!!」 「は、はい......アハハ」  ...こうして、猫実好和の間違いは本格化するに至った訳である。  猫好き大学生・猫実好和の『猫カフェ:ネコまっしぐランド』アルバイト生活が、いよいよ幕を開ける...!

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