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 猫カフェ『ネコまっしぐランド』  客足の減った夕方。  一組の男女が勢いよく来店。   「いらっしゃいませ~、おっ!ハヤオン!」 「店長!猫実くん連れてきましたー!!」  ハヤオンは魔法のホウキに猫実を乗せて、猫カフェ『ネコまっしぐランド』まで連行して来たのである。 「猫実くん!また来てくれたんやなぁ!」  アミ店長は軽く感動しながら喜びの声を上げる。 「...いや、あの、無理矢理連れて来られたんすけど......てか、完全にハヤオン先輩に嵌められました...」  猫実好和は困惑しながら返事する。 「ほな、猫実くん!ウチの店で働くゆーことでええんやな??」  迫るアミ店長。 「え?」 「そうだよね?猫実くん!」  ハヤオンも迫る。 「えっと、その......」 「ナル!もずきゅんも!こっち来るんや!」  困惑する猫実にトドメを刺さんばかりにアミ店長は召集をかける。 「何ですか?店長」 「な、なな何ですか!?」  厨房エリアからぞくぞくとナル&もずきゅんも集まる。   「ん?貴方は猫実くんだっけ?」とナル。 「ね、ねねね猫実くん!?」ともずきゅん。  アミ店長は猫実の前でニヤリと仁王立ち。 「さあ!猫実くん!スタッフのみんなも君を迎えてくれとるで!ナル!猫実くんがうちの店で正式に働くゆうことに賛成かいな?」 「彼が?べ、別にワタシは賛成も反対もないけど......ど、どうしてもっていうなら、歓迎しなくもないんだからね!」  ナルはふんっ!としながらも賛意を示した。 「ナルは賛成ってことやな!ほなもずきゅんは?」 「わ、わわわたしは、その、えっと......さ、ささ賛成です...」  もずきゅんはさっと胸を隠しながら答えた。 「猫実くん!ウチとハヤオンはもちろん、ナルともずきゅんも歓迎やで!?ここで断ったら漢が廃るってもんやないんかい!?」  重ねて迫るアミ店長。  猫実好和は、ぼったくりバーでぼったくられる客のような面持ちで口を開く。 「......いや、あの、俺の意見は...」 「君達。もうやめなさい。青年が困っておろう」  そこへ、遅れて来た救世主のように、奥から白髪の年配の男性がゆっくりと歩いて来た。 「オーナー!」  ネコまっしぐランドオーナー・フユメソーセキは、猫実の直ぐ側まで歩み寄ると、穏やかに話しかける。 「話は聞こえておりましたよ。うちのヤンチャ娘達がご迷惑をおかけしたようで」 「そ、そんなことはないです!」  猫実は途端に恐縮する。 「ところで今の話なんですが......」 「?」 「もしよろしければ、当店で働いてみてはどうですかな?といっても、無理しない程度で構わない。貴方は学生でしょう?学業に支障をきたさない程度のシフトで入ってもらえれば充分です」 「は、はあ。で、でも、なぜ俺なんですか?募集すれば他にも適した人材はいるかと...」 「そんな事はないです。当店は、世界に類を見ない本物のネコ娘が働く猫カフェです。誰でも良いと言うわけではない。  しかし、貴方からは、猫への愛、すなわちネコ愛が伝わってきます。そしてそれは本物の愛だと。  したがって、貴方は選ばれた者なのです」 「...そ、そうなんですか??」 「ではやりましょう。良いですね?」 「え、ええっと、じゃあ、はい...」  猫実好和のYES返事にネコ娘達は歓喜する。 「猫実くん!ウチは信じとったで!?これからよろしゅう頼むわ!ニャハハ!」  アミーナ店長はニカッと笑った。 「猫実くん!ありがとう!一緒に頑張ろうね!」  ハヤオンはキュートに笑った。 「い、一緒に働くからには、しっかりなさいよね!ふんっ!で、でも、わからないことがあれば、いつでも聞きなさいよね!ちゃんと教えてあげるんだから!」  ナルは腕を組んで顔をそむけながら言った。 「ね、猫実くん!こ、今度こそは、わわわたしもしっかりやるから、こ、こここれからよろしくお願いします!!」  もずきゅんはアワアワしながらも頑張って力強く言った。 「あ、はい。よろしくお願いします...」  猫実好和は、一杯千円のカクテルに一万円払わされたような気分になりながらも、可愛いネコ娘達の黄色い歓迎に悪い気はしなかった。  その時... 「それでは早速」 「...えっ?」  謎の声とともに、突然シュン!と猫実の背後に何者かが現れる。  驚いた猫実がバッと振り向くと、くノ一姿のネコ娘がニンと立っていた。  よく見ると、彼女は書類を手に持っている。  「えっと、千代先輩!?」 「猫実殿。当店で就労する旨、伺った。つきましては、こちらの書面を」 「あ、雇用契約書ですね」 「猫実君。早速で悪いですが」  オーナーが優しく微笑みながら促した。 「あ、はい」  すぐに猫実は事務所に移動し、あれよあれよのうちに雇用契約書へ必要事項を記入した。  すなわち、アミ店長による大学生オルグ計画は見事に成功を見たのである。  そしてここに、猫好き青年・猫実好和の本格的な猫カフェアルバイトライフがスタートするのであった!  ......猫実は店を後にすると、家に向かい帰り道を歩きながら、すでに藍色がかった夕空を見上げて呟いた。 「...よーし、こうなったら頑張るぞ!......九割は不安だけど...」  猫実好和、大学二年生。  彼の運命やこれ如何に!?

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