「奇遇だね?」 ハヤオンは花のように微笑んだ。 「そ、そうですね。(......店外で見ると、際立つな...でもやっぱり周りからはクオリティの高いコスプレイヤーと思われてるのかな。しかし、改めて見ると、ハヤオン先輩は可愛いなぁ......)」 猫実好和は、唐突な美少女ネコ娘との遭遇に一驚しながら頬を赤らめた。 「お、おい、あのコスプレ?の子。めちゃくちゃ可愛いぞ」 「えっ?アイドル?」 「あのケモミミと尻尾、リアルすぎる......」 麗しきネコ娘にざわつく通行人。 ハヤオンは微笑みながら猫実に訊ねる。 「大学終わり?」 「は、はい」 「そうなんだ」 ハヤオンはふふふっと笑いながら後ろ手を組むと、猫実好和に接近して上目を向ける。 「猫実くん?」 「な、なんですか?」 「カフェでも寄って行かない?」 「お、俺とですか??」 「そうだよ?私とはイヤですか?」 「い、いえいえそんな!!ぜ、是非行きましょう!!」 「やったぁ」 「ははは...!」 「じゃあ猫実くん!私の知っているお店行かない??」 ハヤオンが澄んだ瞳をくりっとさせて提案する。 「あ、いいですよ!どこにあるんですか?」 猫実が訊ねると、ハヤオンはサッと一歩下がり、片手を腰に当て、片手を横にピッと伸ばした。 「......えっと、ハヤオン先輩?」 猫実好和はハヤオンの脈絡のないポージングに戸惑う。 ハヤオンはニイっと自信満々の表情を見せて、 「顕現せよ!我が翼よ!」 叫んだ。 その瞬間、ボゥンッ!という音とともに謎の煙が飛散し、彼女の伸ばした手に長いホウキが現れた! 「い、いきなりハヤオン先輩の手に箒が!?なんで!?」 猫実好和はたまげる。 ハヤオンはおもむろにホウキに跨ると、猫実に微笑みかける。 「さあ!猫実くんも!」 「お、俺も??て何がですか??」 猫実は彼女が何を言っているのか理解できず訊き返した。 「私の後ろに跨るの!さあ、早く!」 「え?俺もその箒に跨るんですか??」 「そうよ!さあ!」 猫実好和は当惑し、周りをチラチラ見まわした。 道ゆく通行人達は不思議そうにハヤオンを眺めている。 「あ、あの、ハヤオン先輩...」 「何してるの猫実くん!さあ!早く」 全く揺るがないハヤオン。 彼は彼女の微動だにしない態度に気圧され、周りの目を気にしながらもハヤオンの後ろに跨った。 「こ、これでいいですか?」 「うん!じゃあしっかり掴まっててね!」 「は、はい??」 「それじゃあ、いっくよ~!?」 フワァン 「えっ?」 なんと、ハヤオンのかけ声と共に、二人を乗せたホウキがフワリと浮上し、数秒のうちに電柱の高さを超える。 「えっ、えっ、えっ、ななな何これ??」 「しゅっぱ~つ、しんこー!!!」 バビューーーーン!!! 「えええええーーーー!!??」 ホウキに乗った二人は、ジェットコースターのような勢いでビューン!と空を翔けていった。
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