魔女のお茶会
未来――α
ナンドンランドンは大きく振りかぶり、虎の手でフックを放つ。 華茂は踵でザザザザ! とブレーキをかける。華茂の鼻頭の前でフックは空を穿つ。たちまち、華茂の炎を纏った上段回し蹴り。ナンドンランドンは腕を引っこめようと思ったが、わずかにかすってしまった。虎の手が燃え上がる。 「くっ!」 だが敵はその隙を逃してくれない。 『吹けよ青嵐、巻き上がれ乱風!!』 ……ん。 風かっ!! ナンドンランドンの足下から小さな旋風が巻き起こった。これがナンドンランドンのふとももにいくつもの切傷を入れる。血と風が相まって、血煙が発生した。 「が、うっ」 どこだ。 見えない見えない見えない――!! 「うああああっ!!」 やたらめったらと虎の手を振り回す。しかし相手を討ったという感覚がない。大ぶりで何回も試すが、華茂の身体を捉えることはできない。だが、いるのだ。敵は必ずすぐ近くにいる。なのにやはり、見えない見えない見えない――!! 『火龍!!!!!!』 ちょうど十三回目に腕を振り下ろした時だった。 華茂の拳がナンドンランドンの肩に入った。上腕骨頭にヒビが入る。激痛が、神経系統を通じてやってくる。ナンドンランドンは大きな叫び声を上げて、その身を崩した。 そして、思う。 【この未来は、不採用】
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