魔女のお茶会
最終章⑫( ―  )

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                 |                   |                   |                   |                   |                   |                   |       |                   |                   |               あるとこ|ろに子供がいた。           |               その子は|まだ、かろうじて算術が        |               できるくらいで、毎日母と|ともに                |       絵本を読んで笑っていた。|                   |       ぬいぐるみが大好きで、い|つも犬の               |       ぬいぐるみを抱いて眠って|いた。     |                  し|かしその絵本は炎に沈み、       |                  登|場人物の顔は奇妙に曲がった。     |                  ぬ|いぐるみの目が飛び出て、       |                  中の綿はドロ|ドロに溶けた。            |             大好きだった|そのぬいぐるみと同じ         |             ように、その|子供の眼球は硝子に          |             よって破壊さ|れ、その子は最期まで                  |    手を伸ばして、暗闇の中、大事な|                   |    大事なぬいぐるみを探していた。|                   |                   |       華茂は   たしかに  |     |                   |      その光景を        |                   |    見た。            |                  目|に、強い痛みが、走った。       |                             |        あるところに大人になり|かけの                |        少女がいた。少女は想い|を寄せる               |        相手に、機械で言葉を送|った。                |        その返事は、少女|の想いに応えた            |           ものだった。少女|には、この世界が           |           輝いて見えた。窓|を開けた。              |           ベランダに出た。|貴女の好きな人は      |                貴女の|ことが好きなのだ。夜はそう      |                告げて|くれた。               |                その夜|が牙を剥いた。            |                少女は大熱に焼かれた。可憐な姿|は                  |    どこにもない。ただ残ったのは、|                   |    焦げた、髪の毛の束だけだった。|                   |                   |       華茂の    内臓が    |                   |       内臓の一部が      |                   |   潰れたような気が     した。|                   |  ギリギリと痛む。 脂汗が  出る。|        |                   |             都会で暮らし|始めた男女がいた。          |             二人とも田舎|から出てきて、            |             初めての都会|だった。                   |         立ち並ぶビル、そして|おしゃれな              |         人々に、二人は戸惑っ|た。それでも             |         無事に部屋を借りるこ|とができた。             |         部|屋は隣同士だった。困った時には    |                  助|けあおうと決めて。そして二人は    |                  毎|晩眠る前に、壁越しに話をした。    |                  そ|れはちょっとしたいたずら心と        |               喜びを満|たす、取り組みだった。        |               爆風が吹|いた。                |               二人は壁|ごと圧縮され、ただ一つの       |               肉の塊となった。   |                   |                   |        これは  いけない。 |                   |          華茂は      |  思う。              |        しかし     華茂の足の |爪が                 |         三枚   弾けた。 |                   |       ついに  悲鳴が出た。 |                   |                   |     間もなく出産を|控えた女性がいた。          |           (もう、見たくな|い)                 |            だが予期せぬ難|産に、女性は二日間          |           (もう、聞きたく|ない)            |                苦しみ|、自然分娩から帝王切開に       |               (やめて|)                  |                切り替|えた。彼女の夫はずっと        |               (やめてやめてやめて)  |                   |       そばにいて、妻の手を握り|続けた。               |      (やめてよぅ……)     |                   |       手術は見事成功し、かわい|い                       |  丸々とした赤子が生まれた。    |                   |  赤子が彼女の乳房に唇を当てる。  |                   |  夫は涙ぐみ、窓から秋空を眺めて  |                   |  子供に「秋菜」と名付けた。 |                   |     赤子は名付けられたと同時に、|                   |     両親とともに、蒸発した。  |                   |                   |     華茂は  脇に|  手を挟み             |               手を  | かばう。この手は          |             この手だけは|  燕のために……          |              その代償 |   として     |   肘の骨が   粉砕した。    |                   | どうして              |                   |        どうして       |                   |    どうしてなの                     |         それでも      |                   | 華茂は               |           飛ぶ。     |                   |                飛び続|ける。         |                悪夢の|中を                 |                 理不|尽の中を               |                   |     燕の         元へ |                      |                 燕の|                   |                   |   元へと。            |             すると   |そこに                |                ぼんやりと した   |                   |            人影が    |                   |    あった。           |                   |                   |     |                   |                   |                   |                   |                   |                   |                

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