ほら、君らの好きな『異世界転生モノ』だよ
《1–2–1》”事実の開示”と”事件”は分けて起こすに限る。(仮題)

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決闘から3日が経過した。 負けた当日に連行された俺は、クロス君の従僕として充実した従僕ライフを……送れてはいなかった。 「ダァぁぁぁあああ!!!」 非常に清楚な叫び声を上げながら、クロス君から支給されたベッドに飛び込む。 ベッドといっても、木の箱の上にうっすい敷布団が敷かれているだけの簡素な物。 胸から飛び込めば、その衝撃は、肋骨を介して肺へと伝わり、叫び声は「グゥッ……!」と言う、うめき声に変わった。 やばい、死ぬほど痛い。 改造スキル:感覚遮断でも使おっかなぁ……でも、痛い思いしとかないと いざって時、耐えられないしなぁ と、仰向けに寝返りを打ちながら、痛みに耐えていると、上位存在こと女神さんからの通話が入った。 はいはい、こちらヒイロ 『何1人でやってるんですか……?』 何って見ての通り、“痛み”に耐える練習。 『そうじゃなくて……いや、今はそれよりも どうするんですかこれから!?』 そうだねぇ……どうしよ。 『“どうしよ”って……』 決闘後直後にも言ったけど、別に決闘での敗北は予定通りなんだよ? この国の主力と言っても過言ではない家の子の下につけば、”少しはこの国の深いところに潜れるかな“って思って、負けて従僕になった訳だけど……まさか、なんの仕事も任されないとは……。 『この三日間、ずっと暇そうでしたもんね。』 別に“いきなり難しい仕事をよこせ”って言ってる訳じゃないんだよ。 そんなの俺だって補償できないよ。 でもさ、全部あの取り巻きの皆さんがこなすのは違うじゃん! 加えて、仕事を見つけてやろうもんなら『それ自分でやるから置いといて』って! それが三日間! お陰でスキル:立ち寝の習得が捗ったよ! 『良かったじゃないですか。』 良い訳あるか! クソォ!何で異世界に来てまで、こんな惨めな目に遭わにゃならん!? あれか!?作者がこの作品に千円分のツイッター広告をつけたら クソ閲覧数が回って、その結果、ラノベストリートのジャンルランキング1位を取りかけたから、その報復か!? 『ちょ、何言ってるんですか!?』 結局よ、『主人と従僕の関係』なんてごっこ遊びなんだろ?だったらフリだけでもいいから仕事させてくれよ…… 何もやってねぇのに三食立ち寝付き…… 『立ち寝は自分でやってるのでは?』 あぁ、そうだった。 とにかく、やりがい不足で死にそうだ…… 『……。言いたい事は分かりますが、クロスさん達なりの、立場の守り方なんですよ。』 はぁ……そうなんだろうけどさ……扱い下手すぎるだろ…… そう考えながら、俺は決闘後の事を思い出していた。

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