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”初戦闘”…… うーん、なんて甘美な響きなんだ…… 各種バトル作品においては、物語序盤の最も大きな見所であり、派手かつ魅力的に描写される場面だ。 斯く言う俺も、ジャンプの読み切りや第1話なんかで、そのド派手な決着シーンに心奪われたものだ。 そんな”夢の舞台”に、今度は俺が立つってか……! ……ヤベェ、興奮してきたな。 (なんて、のんきにしてる場合ですか!?決闘ですよ!従僕ですよ!) はい。 今登場されたのは、カスタマーセンターに勤務されております、女神さんです。 (いや、誰に紹介されたんですか私!?) イマジナリーフレンド。 (えぇ……いや、そんなことより、決闘!どうするんですか!?) どうするって、そりゃ受けて立つけど? (受けて立つって……大丈夫なんですか?) え、何が?俺は仮にも主人公よ? “良いとこのボンボン”に ヤられるほどヤワじゃないよ。女神さんが一番知ってるでしょ? (いや、でも……!) せいぜい、やり過ぎないように戦ってみせるさ。 なんせ勝ったら、相手を従僕に出来るんだ。 再起不能にしちゃもったいない♪ (そうい言うわけではなくて……!) てなことで、こっちは大丈夫だから。 心配してくれてありがとう。 また気になった事があったら、連絡してね。 (あ、ちょ!) まったく、女神さんの心配性もここまでくると”過保護なオカン”って感じがするな。 あっちはあっちで、過保護にしたがる事情があるのもわかるけどさ。 もうちょっと信用して欲しいよね、まったく。 あ、ちなみに、女神さんと連絡を取り合っている間は、現実の世界は時間が止まっているんだ。 どういう原理かはよくわかんないけど、女神さん自身もよくわかんないって言ってたから、想像絶する力が働いているって事らしいね。 まぁ、知ったところで、話の本筋に触れる訳じゃないし、忘れてもらってもいいよ。 そんなわけで、通話を切ってすぐ「やぁやぁ、卑しい商人の子らよ!ご機嫌いかがかな?」と、すっかり調子を取り戻した声が聞こえてきた。 声のする方へふり向くと、仁王立ちするクロス君と、その取り巻きがいた。 ツカツカと小気味よい足音を鳴らしながら俺の元へ近づくと、「すまないね。思ったより大事になってしまった。」と陳謝した。が、その声に”反省”や”申し訳なさ”は感じられず、どこか浮かれている声だった。 加えて”よく通る声”で話すもんだから、気づけば聴衆が形成されている。 こうして注目を集めるようにしたところも含め、計算してやっていそうだ。 とはいえ、今それを咎めてもしょうがない。 此処は一学友として、接することにしよう。 「やぁ、半日ぶり。これが君の答えだね?」 「あぁ、そうだ。今朝お前が言った言葉を借りるなら、私も『言われっぱなし』というのは癪に触るのでね。このような形を足らせてもらったよ。」 「なるほど……ちなみに一つ聞きたいんだけど。」 「なんだい?」 「俺が従僕となった暁には、夜伽の相手をするくらいの覚悟は あるんだけど、クロス君はどこまでする覚悟があるんだい?」

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