大喰いリスっ娘の爆食道
第3食 飛び回る具材

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 プールのようなドンブリに入った大盛りメニューの激流ラーメン。そのラーメンは、麺が泳ぎ回るという人知を超えたメニューであった。  スープの中を泳ぎながら、リスの獣人アリスは懸命に激流ラーメンを食べ進めている。 「す、凄いわアリス……!  もう半分くらい  食べてるんじゃないの……!?」  まだまだ余裕のある様子で、麺をひたすら食い千切るアリス。獰猛な麺が減り、ドンブリの中はだいぶ静かになっていた。  その時、アリスの友人ロップは、スープの中に光る物を見つけた。 「危ない! アリス!!」 「えっ……!?」  ロップの声で瞬時に反応したアリス。スープの奥から飛び出してきた何かを、アリスはギリギリで避けていた。……アリスの頬から一筋の血液が流れていた。 「何かいる……!?」  スープの中から飛び出したのは、高速回転するナルトであった。ナルトの回転は、丸鋸のように鋭い切れ味を発揮していた。 「そいつは中心部に  ドローンを仕込んだ  特別なナルトだ!  食えるもんなら食ってみろ!」 「あんたこのラーメン  食わす気ないだろ!!」  店主とロップのやり取りを他所に、アリスはナルトを攻略する策を考えていた。 「あんなの喰らったら  ひとたまりもない……!  何かあのナルトを  防げるような物は……」  荒々しく回転しながら飛び回るナルト。アリスはナルトを攻略する術を見つけるため、スープの中を泳ぎ回る。 「これは……!」  何かを発見したアリス。だが、その背後に複数のナルトが迫っていた! 「アリスッ……!!」  思わず目を瞑るロップ。アリスの命運もここまでかと思われたその時。  大きな肉の塊がナルトを防いでいた。 「チャーシュー!?」  驚愕するロップ。アリスはニヤリと笑いながら、今の状況の説明を始めた。 「ラーメンの具材の中で  もっとも美味しい物……。  それはチャーシュー……」 「いてもいなくても良い  ナルトごときが、  チャーシュー様に  敵う訳がないって  思ったのよ……!!」 「ナルトに対して  辛辣すぎない……!?」  チャーシューを盾にしたアリス。ナルトは分厚いチャーシューを貫くことが出来ず、チャーシューに突き刺さり回転は完全に止まっていた。  アリスはナルトをそのまま平らげた。 「どんなに美味しいラーメンでも  やはりナルトはナルト……。  ただのカマボコのそれ以上でも  それ以下でもない……!!」 「ナルトにだけ厳しいの  なんなの……?」  ナルト攻略をした勢いで、激流ラーメンは一気に完食されるのであった。それを見届けたラーメン屋の店主は膝から崩れ落ちていた。 「ま、まさか激流ラーメンが  完食されるとは……トホホ」 「ふぅ……美味しかったぁ……。  ありがとうロップちゃん!  おかげでお腹いっぱいだよ!」 「う、うん……。  それは良かった……」  化け物ラーメンを完食したアリス。自分が奢っておいてロップはドン引きしていた。 「本当に最近良いことなくて……。  ロップちゃんのおかげで今日は  美味しかったし楽しかったよ……」 「アリス……」  我が家の借金のことを忘れ、ラーメンを堪能したアリス。そのままラーメン屋を後にした。 「ギリッ……」  そんなアリスの背中を、歯を食いしばりながら睨む影。それは犬の獣人の少女だった。髪はフワフワで、黒いゴシック調のファッションに身を包んだ如何にもなお嬢様な風貌であった。その傍らには、サングラスを掛けた強面の、同じく犬の獣人でスーツの男が立っていた。

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