父親が背負わされた借金のせいで極貧生活を送るアリス。そんなアリスを心配する友人のロップ。 激流ラーメンを制覇した翌日。アリスとロップは、今日も仲良く一緒に学校から下校していた。 「そこのリス族。止まりなさい」 「えっ!?」 突然アリスを呼び止めたお嬢様風の犬族の少女。その隣にはコワモテのサングラスでスーツの男。何やら怒っているような態度の彼女に、アリスは怯えていた。 「ちょっと! アリスが 怖がってるでしょ!? あんた誰なのよ!」 「激流ラーメンは……」 「えっ?」 「激流ラーメンは私が 攻略しようとしていたのに、 先に攻略するとはどういう つもりなの……?」 「えぇ……?」 アリスに言い掛かりを付ける謎の少女。ロップはそんな彼女に呆れていた。 「そんなの……今から あんたも挑戦すれば いいじゃないの……?」 「激流ラーメンは今まで 誰も攻略したことがない 高難易度のメニューだった……」 「私が今さら攻略したところで 私は2番目……。そんな みっともないこと出来ると 思っているの?」 (言い掛かり付けてる時点で 十分みっともないけど……) 聞こえたら面倒そうなので心の声で突っ込むロップ。しかし、アリスとロップが刺激しなくとも、少女はますますヒートアップしていた。 「この私のプライドが 許さない……。 アリスとかいうの、 私と勝負しなさい」 ラーメン屋を出て付いてくるように促す少女と付き添いの男。ロップは呆れ果てていた。 「アリス、あんなのほっといて もう帰りましょうよ……」 「で、でも、1番取っちゃったのは ちょっと申し訳ないし……」 「まったくあんたは……。 お人好しの良い子なんだから……」 アリスが少女の後を付いていくのを見て、ロップも渋々、彼女たちの勝負に付き合うことにした。 「ここが戦いの場よ」 「か、回転寿司店……?」 貸し切られたかのように人っ子一人いない静かな店内。謎の少女は傍らのスーツの男にアイコンタクトを送る。 「スティーブ」 「はっ。ルビーお嬢様」 スティーブと呼ばわれた男はおもむろにスーツを脱ぎ捨てた。スーツの下は板前の調理服を身に纏っていた。最後の仕上げにスティーブは頭に鉢巻を巻いた。 「ルールは簡単。私と貴女。 回転寿司で食べた枚数が多い方が 勝者となるわ」 「ちょっと待って!」 ルビーのペースで話が進んでいくことが気に入らないロップ。アリスを守るのは自分だと言わんばかりにルビーに食って掛かる。 「何。騒がしいわね。 貴女は関係ないでしょう」 「ここはあんたが 用意した場所でしょ!? 明らかにアリスが不利だわ!」 「あ、あの……。ロップちゃん」 「私はお寿司食べられるなら 別に良いんだけどぉ……」 「え、えぇ〜……?」 勝負を挑まれているのを全く気にせず、ただお寿司が食べたいだけのアリス。そんなマイペースなアリスを見て、ルビーは不敵に笑っていた。 「ふ……。そうこなくちゃ。 その食欲は評価に値するわ」 「あ、ありがと! ルビーちゃん!」 「馴れ馴れしく名前を呼ぶのは やめなさい……」 アリスたちのやり取りを他所に、テキパキと勝負の準備を進めるスティーブ。スティーブの前には。大量のお皿と魚介類が並んでいた。 「セッティング完了。 いつでも行けます ルビーお嬢様」 「ご苦労スティーブ。 では、始めましょう。 回転寿司デスマッチを」
コメントはまだありません