大喰いリスっ娘の爆食道
第4食 謎のお嬢様

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 父親が背負わされた借金のせいで極貧生活を送るアリス。そんなアリスを心配する友人のロップ。  激流ラーメンを制覇した翌日。アリスとロップは、今日も仲良く一緒に学校から下校していた。 「そこのリス族。止まりなさい」 「えっ!?」  突然アリスを呼び止めたお嬢様風の犬族の少女。その隣にはコワモテのサングラスでスーツの男。何やら怒っているような態度の彼女に、アリスは怯えていた。 「ちょっと! アリスが  怖がってるでしょ!?  あんた誰なのよ!」 「激流ラーメンは……」 「えっ?」 「激流ラーメンは私が  攻略しようとしていたのに、  先に攻略するとはどういう  つもりなの……?」 「えぇ……?」  アリスに言い掛かりを付ける謎の少女。ロップはそんな彼女に呆れていた。 「そんなの……今から  あんたも挑戦すれば  いいじゃないの……?」 「激流ラーメンは今まで  誰も攻略したことがない  高難易度のメニューだった……」 「私が今さら攻略したところで  私は2番目……。そんな  みっともないこと出来ると  思っているの?」 (言い掛かり付けてる時点で  十分みっともないけど……)  聞こえたら面倒そうなので心の声で突っ込むロップ。しかし、アリスとロップが刺激しなくとも、少女はますますヒートアップしていた。 「この私のプライドが  許さない……。  アリスとかいうの、  私と勝負しなさい」  ラーメン屋を出て付いてくるように促す少女と付き添いの男。ロップは呆れ果てていた。 「アリス、あんなのほっといて  もう帰りましょうよ……」 「で、でも、1番取っちゃったのは  ちょっと申し訳ないし……」 「まったくあんたは……。  お人好しの良い子なんだから……」  アリスが少女の後を付いていくのを見て、ロップも渋々、彼女たちの勝負に付き合うことにした。 「ここが戦いの場よ」 「か、回転寿司店……?」  貸し切られたかのように人っ子一人いない静かな店内。謎の少女は傍らのスーツの男にアイコンタクトを送る。 「スティーブ」 「はっ。ルビーお嬢様」  スティーブと呼ばわれた男はおもむろにスーツを脱ぎ捨てた。スーツの下は板前の調理服を身に纏っていた。最後の仕上げにスティーブは頭に鉢巻を巻いた。 「ルールは簡単。私と貴女。  回転寿司で食べた枚数が多い方が  勝者となるわ」 「ちょっと待って!」  ルビーのペースで話が進んでいくことが気に入らないロップ。アリスを守るのは自分だと言わんばかりにルビーに食って掛かる。 「何。騒がしいわね。  貴女は関係ないでしょう」 「ここはあんたが  用意した場所でしょ!?  明らかにアリスが不利だわ!」 「あ、あの……。ロップちゃん」 「私はお寿司食べられるなら  別に良いんだけどぉ……」 「え、えぇ〜……?」  勝負を挑まれているのを全く気にせず、ただお寿司が食べたいだけのアリス。そんなマイペースなアリスを見て、ルビーは不敵に笑っていた。 「ふ……。そうこなくちゃ。  その食欲は評価に値するわ」 「あ、ありがと! ルビーちゃん!」 「馴れ馴れしく名前を呼ぶのは  やめなさい……」  アリスたちのやり取りを他所に、テキパキと勝負の準備を進めるスティーブ。スティーブの前には。大量のお皿と魚介類が並んでいた。 「セッティング完了。  いつでも行けます  ルビーお嬢様」 「ご苦労スティーブ。  では、始めましょう。  回転寿司デスマッチを」

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