ついに始まった大食いナンバーワンを決める大会、食戦鬼GP。その予選の内容とは、爆発するおにぎりの中から参加券を探すというめちゃくちゃな物であった。 「おにぎりを割らなきゃ 中に何が入ってるか 分からないのに、こんなの どうすれば良いの!?」 おにぎりを持ち上げ重さを比べる参加者。しかし、どう比べても重さは同じように感じる。爆弾おにぎりは、手で割ろうが慎重に扱おうが、中身が確認出来るようになった時点で爆発するよう細工されていた。 「ぎゃあああああっ!!」 「うげえええええっ!!」 広場の各地で次々と爆発する参加者たち。その光景に恐れおののき早々にリタイアする者。予選会場は地獄絵図と化していた……。 「ふむ……」 そんな中、静かにおにぎりを見比べる猫の獣人の姿があった。彼女は感覚を研ぎ澄まし、おにぎりに集中する。 「……なるほど。これですね。 はい。分かりました。 ありがとうございます」 周りに他の獣人などいないのに、何かと会話するかのような素振りを見せる彼女。そのままおにぎりにかぶりつくと、中からカプセルに入った参加券が姿を現した。 「ミア選手! 決勝トーナメント 進出決定です! おめでとうございます!」 ミア選手とアナウンスされた猫の獣人は、スピーカーに向かって軽く会釈をすると、上品に控室へ向い歩いていった。 「どれかな〜……っと!」 ミア選手が予選突破していた頃。アルマジロの獣人の少女が、おにぎりを手で掴み、豪快に割っていた。 次の瞬間! おにぎりが発光し、爆発の予兆を見せていた。 「危なっ!!」 アルマジロの獣人は、強靭な防御力を誇る身体を丸めて、爆発を防いでいた。 「となると、こっちが 当たりじゃないのん?」 すぐに防御出来るように警戒しつつ、アルマジロ少女が慎重におにぎりを割ると、中から参加券が出て来た。 「マヒロ選手! 予選突破です! おめでとうございます! 控室にてお待ちください!」 「いえ〜い。やったね〜」 ヒラヒラ踊り喜ぶマヒロ選手。独特のテンションのまま、ミア選手に続き控え室へと向かった。 「どんどん予選突破者が 決まってる……。 お願い……アリス……。」 なかなかアリスの名前が呼ばれずロップは焦っていた。ロップには、手を組み、ひたすら神に祈ることしか出来ない。 「えっとえっと!」 広場の中央付近。そこにアリスの姿はあった。おにぎりがなかなか見つからず、アリスもまた焦っていた。その様子がモニターに映し出され、ロップは固唾を呑んで見守っている。 「あ! あったー!」 ついにおにぎりを発見したアリス。嬉しそうに満面の笑みでおにぎりを手にした。竹の皮を外し、愛おしそうに見つめている。 「竹の皮ってのがまた 雰囲気あって良いよね……。 じゃあ、いただきます!」 「えっ!? アリス!! もっと慎重に選ら……」 ロップが言い終わる前に、アリスがかじったおにぎりは、大爆発を起こしていた……。
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