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「肌荒れなんて、たいしたことじゃないだろ? なんでそんなことで悩むかなぁ?」  学校へ登校途中、カバンのストラップになってる、ユネがぼやいた。 「お肌の悩みは、女の子にとって大事なことだよ。だいたいさ、魔法でちょちょいと、お肌キレイにできないの?」 「あのね、魔法少女の魔法は万能ばんのうじゃないの。魔法を使う人間の能力も問われるんだ。くやしかったら、もっと実力をあげて、肌荒れでも何でも治せるようになりなよ」 「うぅ、そんなぁ……」 「だれか来たみたい。ぼくは黙るね」  ユネの言うとおり、横道から親友の明日香が走り寄ってきた。 「おはよー、なつみ」  息を切らし、結い上げた髪を可憐に揺れている。華奢きゃしゃな体なのに、胸元はふっくらしてる。肌は透き通るような白く、頬は薔薇色だ。明日香は私の憧れをいっぱいつめこんだような、きらきらの美少女だ。 「おはよ、明日香。今日も元気だね」 「なつみはあいかわらず、眠そうな顔してるわね。真夜中に、マンガ読み過ぎなんじゃない?」 「明日香までママと同じようなことを言わないでよ」 「寝不足はお肌の大敵よ。ちゃんと寝てる?」 「う、うん。それなりに……」 「ちゃんと寝てたら、そんな眠そうな顔してないでしょ?」  くやしいけど、何も言い返せない。白くて、つやつやの肌をもつ明日香を見てると、良い睡眠はいかに大切かわかる気がした。 「ちょっといろいろあってね。それより、肌荒れやニキビによく効く化粧水とか洗顔料とか知らない?」  明日香から、美肌の秘訣ひけつを聞き出そうとした時だった。 「あ、拓真たくま先輩」 「え? どこどこ?」  拓真先輩は、私と明日香が所属するテニス部の先輩だ。中3だから、もう引退してしまったけど、今でも時々部活に来てくれる。  拓真先輩は友達と楽しそうに話しながら、学校へ向かって歩いてる。 「拓真先輩、今日もカッコイイ……」 「先輩のこと、そんなに憧れてるなら告白すればいいのに」  当然のことでしょ、と言わんばかりに明日香がつぶやく。 「あのね、私は明日香みたいな美少女じゃないの。拓真先輩はあんなにステキだし、私なんてどうせ無理よ。私は遠くから見つめられれば、それでいいの」 「なつみだって可愛いよ。その荒れてる肌がなければ」 「明日香、それちょっとキツい……」 「うふふ。ごめん、ごめん。でも本当だよ。なつみだって、ちゃんと可愛いよ。もっと自信持って」 「そうかなぁ……?」     明日香の言葉はとても信じられなかった。嘘を言う子ではないことは知ってるけれど。

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