魔法少女は恋の夢を見てる時間がない
魔法少女
今宵も人は、安らかな眠りと共に幸せな夢を見る。 けれど夢の中に魔の存在が忍び込み、悪夢を見せてしまうことがある。 人々の幸福な夢をむさぼり食い、代わりに悪夢を見せてしまう夢魔たち。 私の使命は、夢魔の悪夢から人々を守ること。 「いくよ、ユネ」 「今日も頑張ろうね、なつみ。ううん、ピュアドリーマー!」 「……なつみでいい。その名前、ちょっとはずかしいよ」 「ピュアドリーマーは人々を守る聖なる魔法少女の名だよ? はずかしくなんかない!」 「わかった、わかった。真夜中だけはピュアドリーマーでいいから」 マスコットのユネが、不満そうに叫ぶ。ユネが私に魔法少女としての力を与えてくれた。ハムスターのような小さな体で、普段は私のカバンにぶらさがるストラップとして擬態してる。真夜中になると変身するのだけれど、そこは私と同じ。 ユネに魔法少女になることを誘われ、私は決断した。人々を夢魔から守ろうと。何のとりえもない私だけど、少しでも人のためになるなら、それは私の喜びだから。 任務に不満はないし、使命をやり遂げて、ユネを故郷に返してやりたいって思う。魔法少女になって、私は満足だ。 けれど。 そんな私、ピュアドリーマーにも人には言えない悩みがあった。
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