作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 大好きな人の部屋の窓を、今晩も軽くノックする。 「こんばんは、拓真先輩」 「いらっしゃい、なつみちゃん、ユネ」  魔法少女ピュアドリーマーとして真夜中に活動しながら、拓真先輩の部屋にお邪魔する。  そして話を聞いてもらいながら、フェイシャルマッサージを受ける。少しの仮眠をとったら、また魔法少女として夜空へ飛び出す。時間としては短いけど、私にとっては何よりのリフレッシュタイムだった。  先輩の勉強の邪魔にならないか心配だったけど、夕方仮眠をとってるから問題ないそうだ。  マスコットとしてちぢこまっていたユネも、時間が経つにつれて、拓真先輩に懐いていった。  私とユネにとって、先輩はかけがえのない仲間となっていた。 「先輩、今晩もすごく気持ち良かったです。ありがとうございました。じゃあ、行きますね」 「待って、なつみちゃん」  窓から夜空へ飛び出そうとしたいたところで、先輩が私を呼び止めた。  夜空には満月が浮かび、私と先輩を月の光のライトで照らしてくれる。彼は私をじっと見つめていた。 「最近、キレイになった?」 「え、そうですか?」 「うん、やっぱりだ。月の光の中で君は輝いていたけど、今はあの頃より、もっとキレイになった」 「何もかも先輩のおかげです。ありがとうございます」  ぺこりと頭を下げると、先輩は幸せそうに微笑んだ。 「なんでキレイになったと思う?」 「先輩のマッサージのおかげで……」 「それだけじゃないよ、なつみちゃん」  彼の細長い指先が、私の頬にふれる。月明かりが私と先輩を優しくつつみこんだ。ユネが咄嗟とっさに、自分の顔を翼で隠している。 「恋の魔法、って知ってる? 君に、ピュアドリーマーとして出会った満月の晩からずっと君のことが好きだった。君のマッサージをしながら、いつも願っていたよ。なつみちゃんにとって少しでも癒しになりますように、って。なつみちゃん、君が好きだ。これからもずっと君の力になりたい」 「先輩……」 「拓真って呼んで、なつみ」 「拓真さん……」  先輩、ううん、拓真さんはきれいになった私の頬に、優しくキスをした。頬へ流れおちていく涙を、キスで受け止めてくれる。これまでの悩みや苦しみを少しずつ浄化していくのを感じた。  ああ、これもきっと恋の魔法なのね。 「行っておいで、なつみ。オレはいつでもここで君を待ってるから」 「行ってきます。行くよ、ユネ!」  顔をほんのり赤くしたユネが、慌てて私の後を追いかけてくる。  私はこれからも人々の安らかな眠りのために戦うだろう。  大好きな人が、私の帰りを待っていてくれる限り──。          了

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません