魔法少女は恋の夢を見てる時間がない
秘密を知られてしまった!?

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 ユネは女の夢魔を睨みつけると、口をかぱぁっと開けて鋭い牙を見せつける。今のユネは巨大ハムスターにしか見えないけど、戦闘能力も高く、頼れる相棒なのだ。  夢魔が一瞬たじろいだ瞬間を見逃すことなく、猛然もうぜんと襲いかかる。怯えた夢魔は先輩から身を引いた。 「今だっ!」  ユネが作ってくれた絶好のチャンス。脇に差していた魔法のステッキを取り出すと、拓真先輩に絡みついた夢魔の髪を切り落とした。空中からゆっくり落ちてくる先輩の体を、慌てて受け止めることに成功する。 「ユネ、拓真先輩は救ったわ!」 「最後の仕上げを頼む、ピュアドリーマー!」 「ユネ、離れて。封印魔法ピュアシール!」  女の夢魔が叫び声をあげながら、小さな宝石へと姿を変えていく。 「封印完了!」 「はーい、いただきまーす」  夢魔が封印された宝石を、ユネが美味しそうにのみ込んだら私の任務は完了だ。ユネは夢魔の宝石を胃の中で浄化させてから吐き出し、その後異界へ送り届けられる。 「ふぅ。今日は大物を封印できたみたいね」 「うん。あの髪の長い夢魔は相当な力をもっていたからね。おつかれ、なつみ」 「ユネもお疲れ様」と言おうとした時だった。すぐ後ろに人の気配がした。 「なつみ、ちゃん……?」  それは私が憧れ続けた人の声だった。少し低めな美声で、いつまでも聞いていたくなる。  おそるおそる振り返ると、意識を取り戻した拓真先輩が、私の目の前に立っていた。これまでこんなに近くで先輩を見たことがない。目鼻立ちが整っていて、肌がきめ細かく、ツヤがある。そんな場合じゃないというのに、先輩の美しさに見とれてしまった。 「やっぱり、なつみちゃんだ。オレを助けてくれたんだね。でもその服装と不思議な生き物……うわさの魔法少女って……」  そこまで先輩が言った時だった。雲にさえぎられていた満月がゆっくりと姿を見せ、私の姿を月光にさらした。月の光の中に浮かぶ、魔法少女としてのコスチューム。それだけならまだいい。月光は私の荒れた肌も、容赦ようしゃなく先輩に見せつけた。月面クレーターみたいになってる、私の肌を。 「なつみちゃん、君の肌……」  先輩はさらに驚いたのか、ゆっくりと私に手を伸ばした。  顔に伸びてきたキレイな指先を見て、ようやく私は我に返った。 「いやぁぁぁ!!!」  先輩に見られた! 荒れまくった、私の汚い肌をっ! 「あ、待って! なつみちゃん!」  拓真先輩が止めるのも聞かず、夢中で外へ飛び出した。ユネが慌てて後を追ってくる。  輝く月光から顔をそらすように、魔法で夜空を飛び続ける。涙があふれて止まらない。頬を流れ落ちる涙が夜空を舞い落ち、きらきらと星のようにきらめいていた。

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