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「……新堂、お前の努力は逆効果だったみたいだぞ?」 生徒会長はRINEの内容に目を通すとため息混じりに言った。 昼休みの生徒会室には、池川会長と新堂書記の二人だけが弁当を広げていた。 「逆効果……?」 聞き返す男に、会長はスマホの画面を見せる。 それを読んだ書記の顔色はみるみる青くなった。 「マジかよ……」 「ここのところ正体バレで悩んでいた彼女にとっては、決定打だったんだろ」 RINEの最後には、ミモザが酷く怯えているためテレビ出演は難しいかも知れないとのアキの言葉が入っていた。 「うわ……。ごめん。俺めっちゃ謝るから!」 「どうやって?」 「本人に直接……言いに行ったら……もっとビビられると思うか?」 「……だろうな」 「あー……。俺が軽率なことしたせいで、もし空とA4Uのコラボ曲がダメになったら……」 「それは僕も困る。……仕方ない。相談してみるよ」 *** 「ミモザ、大地さん謝罪したいって言ってるらしいけど……どうする?」 昼ごはんを食べ終わる頃、アキは空から届いたRINEを読んでそう尋ねた。 あれから、二人は昼休みはなるべく人の多い食堂で食べていた。 昼休み中に部長さんにクラスを覗きに来られても、どの組かわからないようにというささやかな対策だ。 「ええっ。……でも……私が先に大地さんの事フォローしてたんだし、フォロバもらって謝られるのもおかしいよね……」 「あはは、そうだよね。どうする?」 アキは楽しそうに笑顔を浮かべて尋ねる。 「私……。フォロー許可して、大地さんとお話ししてみる」 ミモザが答えれば、アキは太陽のように笑う。 「うん、それがいいよっ」 「大地さんのトイッター、ずっと見てて……。いつも明るくて楽しそうで、アキちゃんみたいだなって思ってたの。きっと、嫌なこと言われたりはしないと思う……」 「うんうん、あの空さんのお友達なんだし、多分良い人だよ」 「うん……だといいなぁ……」 コクコクと大きく頷くアキの嬉しそうな顔を見ていると、本当に大丈夫な気がしてくるので不思議だとミモザは思った。 ふと視線を感じた気がして振り返る。 人の多い食堂に、こちらを見ている生徒の姿はない。 「ミモザ?」 「ううん、気のせいみたい」 なんだろう。ここのところ時々嫌な視線を感じる。 授業中には感じないので、休み時間に……生徒の誰かに見られてる……? ミモザの脳裏に先日の放送部長の姿が過ぎる。 高圧的な彼の態度は、以前自分をいじめていた女子達と重なって、ミモザにはとても恐ろしかった。

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