階段を降りた場所は、20畳くらいだろうか?広場になっている。ここは、安全地帯になっているようだ。 魔物の気配がない。ダンジョン固有の事なのだろう、”最初”の部屋には、魔物が出入りできない何かが有るのだろう。ここに、転移してくる事になっているのだとしたら、安全の確保にもなるのかもしれないな。 戻るにしろ、進むにしろ、一旦休憩する事にした。ライに、果物と水を出してもらう。水は、作ったコップで受け止める。カイとウミの為に、水を飲めるように作った深皿を出す。 他に入り口もないらしいし、俺たちしか居ないのは確定しているので、セーフエリアで睡眠を取る事にする。 「なぁカイ。ダンジョンって成長するのか?」 『え?あっはい。徐々に深くなっていくと言われています』 「討伐とかしたほうがいいのか?」 『わかりません。僕たちは、ダンジョンができると、餌場ができるので、人族が来るまでは、近くで住むようにします』 「そうか、ありがとう」 さてどうするか? このままでもいい気がするけど、できたばかりの段階だと思うし、討伐してしまうのも一つの方法なのだろう。 一旦、転移門を設置しに戻るか? でも、まずは、寝よう。さすがに疲れた・・・。 /***** ??? Side *****/ 「領主様。ただいま戻りました」 「それでどうであった?」 「はい。確実に、レベル7回復を所持しております」 「そうか・・・それで?」 「あっはい。サイレントヒルには、何人か向かわせると言っておりました」 「わかった。下がって良い。それから・・・」 「・・・はい。街に入ったのは間違いありません」 二人の間に沈黙が流れた。 老年の男性が口を開くのを、部屋に入ってきた男が待っているのは明らかだ 「そうか、ブルーフォレストに向ったのだな。目的は、ダンジョンか?」 「・・・」 「それしかあるまい。あの馬鹿者・・・速駆の指輪まで持ち出しおって」 「領主様。それは、全て」 「いうな。解っておる。解っているが、それでも・・・儂は・・・儂たちは、アヤツを・・・っく」 /***** ??? Side *****/ テーブルを挟んで二人の男性が向かいあわせに座っている。 色っぽい話をしている雰囲気ではない。 貴族風の男性は、眉間にシワを作って、目の前に置かれている資料を凝視している。もうひとりの商人風の男性は、出された飲み物に口を付けている。 「お前はどう思う?」 「何がでしょうか?」 貴族風の男性が、商人風の男性を問い詰めているようだが、商人風の男性は、飄々とした態度を崩していない。それが、貴族風の男性をイラつかせる理由にもなっている。 「とぼけるな?お前たちが、”狩り”をしているのは知っている。その商品を、サラトガに流しているのも承知している」 「はぁそれで?」 「ミュルダからの話は聞いているな」 「どちらですか?」 「サイレントヒルの事だ」 「”光の柱が出た”と、いう方ですか・・・チームの何人かが”見た”と言っていましたがね」 「それで?」 「何もしませんよ?」 「なに?」 商人風の男性は、コップに継がれた液体を流し込む。 「悪くないのですが、アンクラムで飲むのなら、エールのほうが美味しいですよ」 「そんな事、それよりも、お前たちの”狩り”にも影響するのだろう?なぜ、調べない?」 「私達の商売にも確かに影響しますが、だからといって、私達が調べる必要は無いでしょう?それこそ、そのために、税を払っているのですからね。違いますか?」 にらみ合う 「それから、お前の所の商品を貸し出せ」 「お断りします」 「なに?」 「当然でしょ?商品ですよ。傷つけられたら、売り物になりませんからな」 「・・・いい。お前には頼らん。そのかわり、お前らも覚悟しておけよ。今までと同じようにできると思うなよ」 「安っぽい脅迫ですな。いいですよ。そうなったら、サラトガにでも行きますよ。あそこなら受け入れてくれるでしょう。あなた達こそ解っていますか?私達が居なくなってしまえば、最終的にこまるのはあなた達ですよ。ここの人たちは、商品を大切に扱うなんて事はできないようですからね」 「もういい!出て行け!」 「はい。はい。それは、ご領主様!」 商人風の男性は、コップに残っていた液体を飲み干してから、部屋をあとにした 「ふん。奴隷商人風情が良い気になりおって、お前の変わりなど捨てるほどいる!」 貴族風の男性は、空になったコップをにらみながらつぶやいた。 /***** カズト・ツクモ Side *****/ ライに起こされた。 階層を降りたセーフエリアで皆で寝た所までは覚えている。疲れていたのも有っただろうけど、すぐに寝入ってしまったようだ。 カイとウミの姿が見えない。 「ライ。カイとウミは?」 話せないのが辛い。街に行って、念話のスキルカードを取得したい。 ライが、”こっちだよ”と、でも言っているように、ダンジョンの方向に進んでいく。 セーフエリアを出て、少し行った所で、カイとウミがゴブリンと戦っていた。 もう既に、決着が付きそうだったので、そのまま見守る事にする。時間にして、5分くらいで最後のゴブリンが倒れた。見た感じ、カイとウミには怪我一つ無い。一安心だが 「カイ。ウミ。なんで勝手に戦った?」 『カズト様。申し訳ありません』『ライ。内緒だってお願いしたよね』 二匹の反応から、寝ていたときに、ゴブリンの集団反応を感じたのだろう。 俺が寝ていたし、ゴブリン程度なら勝てると思ったのかもしれないけど・・・。ん?ゴブリン程度に勝てる?たしか、カイとウミは、ゴブリンに追われて逃げてきたよな? そうだ。ステータスを表示してみればわかるか? 名前:カイ 性別:オス 年齢:3 種族:フォレストキャット 称号:カズト・ツクモの眷属 固有スキル:念話 体力:D+ 魔力:E- 名前:ウミ 性別:メス 年齢:3 種族:フォレストキャット 称号:カズト・ツクモの眷属 固有スキル:念話 体力:F- 魔力:D+ 急激に強くなっている印象がある。魔力の吸収でここまで強く慣れるのか? "体力G"で"魔力H"のゴブリンに、今のステータスだと、1対1では勝てるのだろうが、群れで襲われたときには、対応できるとは思えない。 「カイ。ウミ。ライ。ゴブリンの死骸を片付けてから、戻って話をしよう」 『はい』『わかった』 ゴブリンの魔力を、カイとウミが吸収する。死骸を、ライが消化する。 そもそも、眷属化すると何かが変わるのか? // スキル:眷属化 // スキルレベル6 // 意識有る魔物を眷属にする事ができる。ダンジョンの魔物は眷属にできない。 // 眷属を受け入れた魔物は、非眷属の魔物よりも速く成長/進化する。 眷属化した事で、成長が通常よりも早いのだ! でも、まだゴブリンを駆逐できていた理由にはならない。 // 名前:カイ // 性別:オス // 年齢:3 // 種族:フォレストキャット // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:念話 // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1:火種(6)・微風(1) // レベル2:炎(4) // レベル3:体力強化(2)・攻撃力向上(2) // レベル4: // レベル5: // レベル6: // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:D+ // 魔力:E- // 名前:ウミ // 性別:メス // 年齢:3 // 種族:フォレストキャット // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:念話 // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1: // レベル2: // レベル3:体力強化(3)・攻撃力向上(3)・速度向上(4) // レベル4:炎弾(4) // レベル5: // レベル6: // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:F- // 魔力:D+ // 名前:ライ // 年齢:0歳 // 種族:スライム // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:収納 // 固有スキル:物理攻撃半減 // 固有スキル:スキル攻撃半減 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1: // レベル2: // レベル3: // レベル4: // レベル5: // レベル6: // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:F // 魔力:F そうか、ゴブリンと戦うときに、スキルを使っていたのだな。 それじゃなぜ、こんなに簡単にスキルを得たのだろう? 俺が確認できているのは、数枚のスキルカードだけだ。これが一般的な事なのかわからないが、ゴブリンを倒しただけで、レベル4のカードが手に入っている。価値に関しては考えないようにする。 ライが、進化しているのか?それにしても、強烈なスキルが目覚めたな。物理とスキルの攻撃が半減・・・。魔力も、体力も、まだまだ下の方だと思うけど、それでも、半減スキルはこれからの事を考えると、有効なのだろうな。 セーフエリアで、カイとウミとライを鑑定しながら、これからの事を考える。 神が言っていた、”偽装”のスキルは是非欲しい。それから、俺の固有スキルに関しても、いろいろ検証が必要だ。眷属は、カイとウミとライで、低階層なら困らないのだろう。俺が強くなれば、ダンジョンアタックも困らないのかもしれないが、俺が強くなるイメージができない。 ラノベの異世界転生物でよくある武術の達人とかではないし、個人的に、古流の抜刀術を運動不足解消に、近くの体育館でやっていた教室に通っていたくらいだ。レベルやチート能力でゴリ押しもできそうにない。 眷属を増やす方向で考えるのが正しいか?ダンジョンの魔物は、眷属化できないらしいので、外に居る魔物を探す事になるのだろうけど、そのためにもカイとウミとライに有効なスキルを持たせたい。少ない経験から、スキルを得るためには、ダンジョンアタックが効率が良さそうだ。スキルカードが通貨の役目になっていると言っていたから、地球的に言えば、ダンジョンは”金鉱”と同じなのだろう。 ダンジョンを攻略しつつ、岩場を拠点として、周りの探索を行う。 基本方針としては、これでいいだろう。 そうなると、さっさと転移門を設置して、ダンジョン攻略の環境を整えたほうがいいかもしれないな。 「カイ。ウミ。ライ。一旦戻って、転移門を設置する」 『わかりました』『はい』 ライが跳ねて返事をする。 それから、帰りは戻るだけなので、一本道になる。 戻りながら気がついたが、どこをどう通っても、この下の階層につながる階段に来るようになっているようだ。他に階層を降りる所は用意されていないようだ。 カイに、安全なルートを頼んだら、4時間程度で拠点に戻ってこられた。 拠点の内装づくりは、後回しにして、カイたちがゴブリンを始末した場所に案内してもらう。 ゴブリンが貯めた道具が、置かれていた場所よりも奥まっており、広さもある。拡張予定だったのか、別の通路が作られ始めていた。ライに、ためにして、”洞窟の一部を削る事ができるのか?”と聞いたら、簡単だという返事が返ってきた。 どのくらいの作業スピードかわからないので、ひとまず、広間から、人ひとり通られるくらいの道を5m程度作ってもらう事にした。 待っている間に、洞窟から出て、少しだけ周りを探索する事にした。 ライには、5m程度の通路ができたら、20人程度入られる部屋を作ってもらう事にした。もし、俺たちが帰ってくる前に作り終えたら、洞窟の中で休んでいてもらう事にした。
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