違和感で目を覚ました。 手足は動く、仕事でパイプ椅子3個で寝た時のような疲れではない。 起き上がると、二匹の猫?が、足に絡みついていた。 魔物!?猫?は、寝ているようだ。火に、誘われてきたのだろうか? 茶トラと言われても納得してしまいそうな猫が二匹。短毛と、長毛の違いはあるが、顔立ちや体格が似ている。兄弟なのかもしれない。 そうだ。眷属化を試そう。できてしまった場合には、食い扶持が増えてしまうが、なんとかなるだろう。 短毛の猫に優しく触れて。”眷属化”のスキルを発動する。 短毛の猫が、目を覚まして、アイスブルーの目で俺を見つめる。何も起きないまま数秒が経過した。 ん?”眷属”になったのか? 短毛の猫を鑑定してみた // 名前:--- // 性別:オス // 年齢:3 // 種族:フォレストキャット // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1: // レベル2: // レベル3: // レベル4: // レベル5:念話(3) // レベル6: // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:D // 魔力:F 眷属化した猫?が、目を開けてこちらを見ている。 『ごしゅじんさま』 「え?」 『ぼくです』 ”にゃー”と可愛い声で眼の前の猫が鳴いた。 「お前か?」 『はい。ごしゅじんさま。僕に名前を付けて下さい。そして、妹とも契約して下さい』 「あぁいいよ。お前は、”カイ”だ。それから、俺の事は、カズトと呼んでいいからな」 『ありがとうございます。僕は、カイです。ごしゅ、カズト様。これからよろしくおねがいします』 妹と言われた猫にも眷属化のスキルを発動する。 ”にゃー”と、ひと鳴きしたので、鑑定を行ってみる。 // 名前:--- // 性別:メス // 年齢:3 // 種族:フォレストキャット // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1: // レベル2: // レベル3: // レベル4: // レベル5: // レベル6: // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:G // 魔力:D 妹は、スキルは持っていないようだ。 そうだ、固定化できないか? 「カイ。この会話は念話を使ったのだろう?」 『はい。そうです』 「あと二枚あるよな?お前たちは、固有スキルを持っていないようだけど、そこに念話を固定していいか?」 『え?あっはい』 「念話のカードを出してくれ」 『わかりました』 カイから、念話カードを二枚受け取って、鑑定してみる。俺が、思っている事と、違っても困ってしまう。 // 対象との間に、話ができるようになる。 // 魔物と人族の場合には、魔物の意識の問題にはなる。 // 眷属との間では、思念が伝達できる。 // 一回の使用で、だいたい10~30分位 概ね間違いないようだ。 さて、剣にはできたが、生き物にできるのか? カイに念話カードを押し付けながら、固定化スキルを発動する。抵抗なく、カードがカイの中に入る。 できたか? 妹猫が、心配そうな雰囲気を出しながら、カイを見つめている。 二匹で、”にゃーにゃー”言い合っている。その間に、カイを鑑定してみると、 // 固有スキル:念話(レベル1) と、出てきた、名前も、カイとなっている。 話し合いが終わったのか、二匹揃って、俺に向かって頭を垂れる。 『カズト様。妹にも、名前と念話を与えて下さい』 「あぁ」 まずは、念話を与える事にする。同じ要領で、固定化した。 「お前は、”ウミ”」 『ありがとうございます。カズト様。ウミは、嬉しいです』 ウミを鑑定して、名前と固有スキルが付いている事を確認した。 俺のステータスも確認しておく 名前:カズト・ツクモ 性別:男性 年齢:10 種族:ヒューム パーティ:なし 称号:--- 固有スキル:眷属化 固有スキル:鑑定 体力:H 魔力:A- 眷属:カイ/ウミ/空き(7) 眷属化できる数に限りがあるのか? 後悔は、一切ない。前世?で叶わなかった、もふもふ・ペットライフを夢見る事にする。 カイとウミが、俺の所に来た理由を聞きながら、これからの事を決める事にした。 二匹は、森の中で生活していたが、ダンジョンから出てきた魔物に襲われて、逃げてきたのだと話してくれた。森にも帰られないし、安全に眠れる場所を探していたら、俺が寝ていたという事だ。俺が安全かは、”賭け”だったようだ。 森の中には、予想通り”水源”が存在している。ダンジョンと呼ばれる場所も存在しているようだ。他にも、カイとウミは、(猫目線で)食べられる草や果実が有る場所も知っていた。 話を聞いて、まずは、水源を目指す事にした。 カイとウミを襲った魔物も気になるが、水分と食物の確保が、喫緊の課題だ。 カイとウミに、先導してもらいながら、森の中を30分位進んだ所で、水が流れる音がし始めた。それから、さらに10分位進んだ所で、小川が見えてきた。清流と言ってもいいのかもしれない。 生水を直接・・・飲むしか無いようなので、先に鑑定を行う。 // 水:飲料 カイとウミも、可愛い舌を出しながら、水を飲んでいる。 まぁ大丈夫だろう。最悪、腹を壊す位なら、喉の渇きを潤す事を優先したい。 手で掬って口に含む。 ”うまい!” 顔を小川に突っ込んで、喉を潤す。 ”ゲフッ” 俺が、顔をあげると、カイとウミも、川から顔を上げていた。 二匹とも、なんとなく心配そうな雰囲気を出している。大丈夫といいながら、交互に頭をなでてあげると、安心したようだ。 まったりとした時間が過ぎていた。何も解決していないが、喉の渇きを潤せただけで、こんなにも気持ちが楽になるとは思っていなかった。 カイとウミも、俺の膝の上で丸くなって寝始めた。安心してもらえるのは嬉しいが、魔物が襲ってきたら、逃げる一択なのだけどな。 しばらく、カイとウミをなでながら、小川の流れを見ていた。 ”ウゥーウゥー” 「カイ。どうした?」 カイが身体を起こして、小川の先の茂みを睨んで、警戒する声を上げている。 『カズト様。何か来ます』 「敵か?」 『『はい』』 カイとウミも臨戦態勢になる。 二匹の頭をなでて、少し落ち着かせて、剣を構える。剣道の経験はあるが、そんな物が通じるのか? 逃げるほうがいいのではないか?逃げられるか? 茂みから出てきたのは、いわゆる”ゴブリン”と呼ばれる魔物のようだ // 種族:ゴブリン // 体力:G // 魔力:H なんとかなるかもしれない。 「カイ。ウミ。あいつ一匹だけか?」 『カズト様。あいつだけです』『カズト様。アタシたちも』 「カイ。ウミ。周りを警戒していてくれ、あいつは俺が相手する」 『だめです!』『はい』 ウミは納得してくれたようだ。カイは、俺の足元に居たが、ウミに連れられて、一歩下がった所で、辺りを警戒してくれる。 茂みから現れたゴブリンは、本当に一匹のようだ。 そして、手に棍棒を持っている。ゲームで見てきた姿とさほど変わらないが、より”魔物”という感じがする。 こちらを見据えている。小川の手前で止まって、足に力が入ったように見えた。”来る!” そう思った瞬間に、ゴブリンは、棍棒を振り上げて、俺に襲いかかってきた。 剣で棍棒を防ぐ。腕に衝撃が走るが、耐えられる。剣に力を入れて、そのまま押し切ろうとするが、ゴブリンが一歩下がる。 ”ここだ!” 一歩踏み出して、剣先をゴブリンに向けたまま一歩踏み出す。全体重をかけて、剣をゴブリンの首筋に突き刺す。 嫌な感触と共に、緑色の液体が飛び散るのが目に入る。 横たわる。ゴブリン。絶命しているのが解る。 緊張で声がでない。初めて・・・の、命のやり取り。 「カイ。ウミ。もう大丈夫だ!」 二匹が寄ってくる。ゴブリンを見ている。 「どうした?」 『カズト様。死体はどうするのですか?』 「ん?捨てていくけど?ゴブリンは、食べられないだろう?」 『はい。人族は、食べないと思います』『カズト様。食べていいですか?』 「ん。カイ。ウミ。お前たちは食べられるのか?」 『はい。正確には、魔力を食べます。いいですか?』『いい?』 「あぁいいぞ」 二匹が、ゴブリンに近づいて、”にゃーにゃー”言っている。魔力を食べているのだろう。 「もういいのか?」 『はい』『うん』 カイとウミが、ゴブリンから離れたのを見て、声をかけた。 本当に、すぐに食べ終わるようだ。 「さて、行くか。カイ。果物がある場所に行ってくれ」 『わかりました』 カイは、俺の側を歩いている。ウミは・・・俺の、肩に掴まっている。魔力を吸収して眠くなったと言っていた。 移動しながら、カイに聞いてみた、ゴブリンの肉は硬くて美味しくないから食べないらしい。死体は、スライムや蟲が始末してくれるらしい。 カイやウミは、魔力を吸収する事で、力が付くらしい。 人族はどうするのだろう? ステータスにも、鑑定でも、レベルが有るのは、スキルカードだけのようだからな。 そう言えば・・・ 「カイ。俺の種族は、”人族”だと言っていたよな?」 『はい。違うのですか?』 「あぁ俺は、”ヒューム”という種族らしいぞ」 『え?聞いた事がありません。長老とかに聞けば知っているかもしれませんが・・・。申し訳ありません』 「いいよ。いいよ。そのうち解るだろうからな」 『はい!』 「カイ。それよりも、長老って?」 『え?あっフォレストキャットの長老です』 うーん。なんか、噛み合っていないけど、いいか・・。機会があれば会えるだろう。 『カズト様。僕たちが根城にしていた場所は、あの辺りで、食べられる果実があります』 「そうか、ありがとう」 さすがに空腹感も出てきたし、何か食べたいと思っていた所だ。 カイとウミが襲われたと言っていた魔物が居ないことを祈りつつ、指定された場所に急いだ。 幸いな事に、魔物はすでに居なくなっていた。 木々に囲まれた場所で、小川から5分位の距離にある。 カイが言っていたとおり、周りに果物がなっている // 名前:アプル // 食用:可能 // 名前:ピチ // 食用:可能 2つの果物。”りんご”と”もも”だ。形も匂いも俺の記憶にある物と違いはない。 魔物が来なければ、”ここ”をしばらくの拠点にしてもいいかもしれない。 まずは、腹を満たす事にする。 ナイフがあるので、カイとウミにも切り分けてやる。調子に乗って、”りんご”を、6個も?剥いてしまった。一人と二匹で食べるには多すぎた。剥いた皮や芯が、山のようになってしまった。 一息つけた。”りんご”も”もも”もまだ沢山ある。 しばらくは、食べるのには苦労しないだろう。こういうときに、IT土方で鍛えられた精神力が嬉しくない効力を発揮する。3食”同じ”カップ麺を1ヶ月続けても飽きなかった精神力が・・・悲しくなってきた。 辺りを見回す。広場にはなっているが、直径10m程度の広さしかない。柵もなく寝るのには勇気がいる。交代できる人がいれば多少は違うだろうけど、カイとウミと俺だけでは少し心許無い。 さて、どうしようかな・・・。
コメントはまだありません