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『カズトさま』『あるじさま』  ウルズに、転移門を作ってもらって・・・。  部屋に帰って来て、寝てしまったのだったな。さて、暗闇だと、時間が曖昧になるし、この身体にも良くないだろう。ダンジョン攻略に行く前に、周りを散歩してきてから赴く事にしよう。 「カイ。ライ。おはよう。ウミは?」 『ウミは、外であそ・・・警戒しに行っています』 「いいよ。遊びに行くで・・・俺たちも行こう」 『はい』『はぁーい』  洞窟を出ると、いい天気の空が広がっている。さて、ウミを探すか? 「カイ。ライ。ウミを探してくれ、俺は、裏にある川で、汗を流している」 『わかりました』『はぁーい』  カイとライで探せば大丈夫だろう。湧き水が有る場所を、昨日見つけている。その場所に移動して、上着を脱いで、水に浸す。軽く絞ってから、身体をこする。湧き水が流れ出ている場所から少し離れた場所に、横になって身体が沈むくらいの場所を作成した。  湧き水が貯まるのを待っている間に、近くにあった石を敷き詰めた竈を作成して、上で枯れ木や枯れ草を燃やす。  遅いとは思っていたが、気にしない事にした。眷属になってから、カイとウミとライとの繋がりができているのは、わかっている。その上、何かあれば、”ぼんやり”だがわかるようになっている。少しだけ興奮している感じが伝わってくるだけで、危険な感じはしない。何か、食べ物でも見つけたのかもしれない。  水がいい感じに溜まってきて、竈にした石もいい感じに熱せられている頃だろう。お湯を作ろうと思っている。上の火を、剣でどかして、石を一個一個剣で移動させる。数個は、直接水が溜まっている場所に放り込む。水温を確認しながら、石を入れていって、いい塩梅になった所で、残った石を、水路?に置いていく。これで、しばらくは、暖かい水になってくれるのだろう。  全裸になって、お湯に身体を預ける。敷いた岩がいい感じに、土を抑えてくれて、濁りも最小限に抑えてくれる。注ぎ込まれる水も温度は一定ではないが、お湯になって注がれている。  そうだよな。転生したんだよな。10歳の頃って小学生4-5年生か・・・。好きな女の子と、ゲームと、サッカーと、そんなことばかり考えていたな。好きな子にちょっかい出したり、習い事もいろいろ頑張っていたよな。そして、まだ大人は間違った事はしない。信じられると考えてた頃だな。 『・・・。あるじさま。あるじさま』  ん?あっ寝てしまったようだ。 「どうした・・・ライ?」  間違いなく、カイとウミとライだ。  カイとウミが、一回り大きくなっている。それに後ろに”居る”のはなんだ? /***** ??? Side *****/  背の高い男性と、背は低いが腕や肩の筋肉が盛り上がっている男性が、まずそうに何かを飲んでいる。テーブルの上には、他に食べ物らしく物も持っているが、殆ど手が付けられていない。  背の低い男性が、背の高い男性に問いかける。 「おい。どうする?」 「どうするって何がだよ?」 「あぁぁ??アイツ。ダンジョンに行ったって報告しに行ったぞ?」 「なっお前、なんで止めなかった?」 「止められるかよ。それに、アイツは、お前の管轄だろう?」 「・・・そう・・・だけど・・・なんで、そんな事を?」 「お前、知らなかったのか?」 「だから、何を?」 「アイツの兄貴が、一緒に行っているって事だよ」 「・・・しらん。そんな事聞いた事もない」 「・・・・そう・・・なのか?それなら・・・」 「そうか・・・兄貴・・・か・・・無理だろうな」 「あぁ多分な」  二人は神妙な顔で頷いてから立ち上がった。  テーブルには、レベル5のスキルカードが一枚置かれていた。  宿屋兼酒場を出た二人は、街の西門に向かう。  報告を終えた仲間が次に向かうとしたら、西の街だからだ。いつでも、旅立てるように、用意していた武器と食料を持ってきた。  西門では、一人の女性が、門番ともめていた。  二人は、それを見て、頭を抱えるしかなかった。 「おい」 「今は、忙しい、後にしてくれ、このわからず屋の門番を説得しなければならない」  背の高い男性が、持っていた剣の柄で、門番に詰め寄っている女性の頭を小突く。首に腕を廻して、引きずるようにその場から離す。背の低い男性は、その間に門番と何かを話すようだ。 「少し落ち着け」 「え?あっ!」 「武器も食料も持っていなければ、通してくれるわけが無いだろう?」 「え?どうして?」 「”どうして”も無いだろう?ダンジョンに向かうのだろう?」 「・・・」 「やっぱりな。俺は、”止めておけ”と言ったはずだ。死にに行くようなものだ」 「でも・・・」 「あぁ事情は、奴から聞いた。かなり厳しいぞ?」 「うん。わかっている。駄目だとは・・・思っているけど・・・それでも!」 「あぁそうだな。その気持はわかる。俺がそうだったからな」 「・・・あっごめん」 「別にいい。それよりも、一緒に行ってやる。奴も、俺と同じ考えだ」 「え?!」 「そのかわり、俺の指示に従ってもらう。守れるのなら、武器と食料を渡してやる。どうする?」 「本当に?」 「あぁ」  女性は、一度下を向いて、自分の手を見る。  手は、剣を握った事はあるが、戦いを経験しているような手ではない。自分では、街を出れば、一日も経たない間に死んでしまうかもしれない。そんな事は、わかっている。解っているが、それでも、街を出て、ダンジョンまで行かなければならない。そう考えている。  女性は、顔を上げ、背の高い男性の目を見る。 「わかった。お願い。私を、ダンジョンに連れて行って」  門番と話しをしていた、背の低い男性が、戻ってきた 「話はついたぞ」 「そうか、こっちも話がついた」 「わかった。それじゃ行くか?」 「あぁ」  背の高い男性は、女性の背中を優しく叩いた。 「行くぞ」 「はい!」 /***** カズト・ツクモ Side *****/  カイとウミは、確実に一回り大きくなっている。興奮していたのは、何かと戦っていたのかもしれない。 // 名前:カイ // 性別:オス // 年齢:3 // 種族:フォレストキャット // 称号:カズト・ツクモの眷属 // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // 固有スキル:--- // スキル枠:念話 // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // スキル枠:---- // レベル1:火種(6)・微風(1) // レベル2:炎(4)・水(2) // レベル3:体力強化(1)・攻撃力向上(1)・氷(2) // レベル4:水弾(3) // レベル5:治療(1) // レベル6:影移動(1) // レベル7: // レベル8: // レベル9: // レベル10: // 体力:C // 魔力:D-  スキルカードを得ているし、体力や魔力が上がっている。  ウミも同じ様だ。ウミは、スキルカードを得ていないが、話を総合すると、カイがスキルカードを預かったようだ。 // 体力:F+ // 魔力:B-  ライは、体力も魔力も変わっていない。  ”魔蟲”それが、ライの後ろに控えている者たちの総称の様だ。簡単にいうと、蜘蛛/蜂/蟻だ。 『あるじさま。飼っていいですか?』  ライが、”飼いたい”と、いい出したのだ。  皆の話を総合すると、最初蜂が、狼に襲われていた。そこに、颯爽と現れる、ウミ。助けに入るが、一進一退の攻防が続いた。均衡が崩れたのは、狼が仲間を呼び出したのだ。このままではまずいと思ったウミは、蜂を連れて逃げる事を選択した。しかし、うまく逃げられない。狼は、シャドーウルフという種族で、影を使っての移動を固有スキルで持っている。  そのときに、カイとライが助けに入る。数的には、狼のほうが有利だったが、スキルで圧倒した。カイとウミが、狼を殲滅しているときに、別の狼に襲われていた、蜘蛛と蟻をライが助け出した。蜘蛛と蟻と蜂は、カイとウミでは、意思疎通が難しい状態だったが、ライとは意思疎通ができた為に、話をして、洞窟に住みたいとの事だ。今は、数が少ないが、増えてくれば、益虫でもあるので、何かと役に立つという事だ。本人?たちも、安全に過ごせるのなら、そのほうが嬉しいという事だ。 「なぁカイ。魔蟲を飼うのは部屋があるから別にいいけど、管理はどうする?」 『はい。ライと話したのですが、カズト様の眷属にするには、意思疎通が難しいので、ライの眷属にするのが良いかと思います。幸いな事に、魔蟲は、”個にして全”という種族でして、群れの長だけを眷属にすればいいのです』 「へぇそうなると、ライに、眷属化のスキルをつければいい?これからも増えるかもしれないよな?」 『はい。そうされるのがよろしいかと思います』 「わかった。ライに、眷属化のスキルを付けるぞ」  眷属化のスキルカードを顕現させて、ライにスキルを付ける。  その後、ライが、蜘蛛と蜂と蟻を眷属にした。防衛や戦闘力は上がったと思うが、生活環境の向上にはつながらない。  ダンジョンの攻略を急いだほうがいいのか?それとも、森の探索を進めたほうがいいのか?  迷う所だが、今日は、森を探索して、食料を探す事にした。  この食料探しだが、ものすごく簡単になった。  ライの眷属になった、蜘蛛や蟻や蜂が優秀だ。群れの長は、洞窟の中に引っ込んだ。転移門を作った場所近くに、ライと蟻が通路を作って、”魔蟲の間”を作った。そこから、さらに、個別の部屋を作成した。長は、そこに蜂は蜂の巣を作るようだし、蟻は洞窟内の警備と補修と補強をしてくれる。蜘蛛は、糸の生産から重点警護をする事になったようだ。俺が訪ねる事はないだろうから、大きさは住みやすい大きさにして良いと伝えた。  種族別のスキルもある為に、種族間の意思疎通ができるので、侵入者の発見も容易になるのだと言っている。洞窟の入り口部分に、隙間を作って、魔蟲たちが自由に出入りできるような通路を作るよう。  長と洞窟内に残る以外の者たちで、近隣の森にある、果実は蜂が把握済み。植生は、蟻がある程度把握している。魔物の群れに関しては、蜘蛛が把握しているようだ。  食べられる魔物を、カイとウミとライに聞いたが、よくわからないが、答えになってしまうようだ。  群れからはぐれている魔物を数体狙ってみる事にした。  ”索敵”や”探索”系のスキルを見つけていないので、魔蟲に頑張ってもらって、探してもらった。  最初に見つけたのは、イノシシだろうか? // フォレストボア  とだけ表示された。イノシシなら食べられるだろうが、大きい。俺が知っているイノシシの5-6倍はある。ド○ファンゴと呼んでもいいかもしれない。ブ○ファンゴくらいで良かったのだけど、大きい方になってしまうようだ。  雷属性が弱点だったが、この世界のイノシシはどうなのだろう。意気込んでいたが、勝負は一瞬でついてしまった。  ライが、岩弾を、イノシシの頭部に散弾のように降り注いで、倒れた所を、俺が剣で息の根を止めた。  これで終わりだった。 『カズト様』 「どうした?カイ」 『長老に聞いた事があるのですが、血抜きというのをすると、美味しくなると人族が言っているそうです』 「そうか、血抜きをして、清流で冷やせば臭みも抜けるだろうからな。食べられるかわからないけど、やってみるか?」 『はい!』  蜘蛛に少し丈夫な糸を出してもらって、イノシシを縛る。そのまま、近くの川まで持っていって、体温を下げる。血抜きをして、イノシシが冷えるのを待つ。  待っている間、魔蟲には、果物を集めてきてもらう事にした。採取した果物は、洞窟の倉庫へ搬入してくれる。イノシシが冷えるのを待って、解体を始める事にする。もちろん、イノシシなんて解体した事は無いが、魚なら何度もやっているので、なんとかなるだろう。  結論・・・・なんとかなった。内臓は知識にあった、”動物”と違いがなかった。鑑定先生が大活躍した。食用の判断ができるようだったので、解体しながら食用なのかを判断していた。皮は、蜘蛛が欲しがったので、ボロボロになってしまった物を含めて渡した。内臓は、蟻が食べるようだ。食用にもできるようだったが、足が早そうだし調理器具もない事から、蟻に渡した。  ブロック状にした肉は、洞窟の中に運ばれて、吊るしておくことになった。予定よりも大分早いので、洞窟の改良を行う事にした。  魔蟲たちは、自分たちで住みやすいように改良すると言っていたので、基本放置する事にした。

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