「生き返らせた、のか。」 (遺伝子編集蘇生... 完成していたか) よく戦場の駐屯地で話題になっていた特殊魔法だ。 まだ当分は技術が確立されないといわれていたが――――― 「その通り、私は皇くんを生き返らせた。 話が早くて助かるよ。」 「そうか。感謝してもしきれないな。」 俺は表情を変化させることもなく淡々と言った。 「意外と死んだことに無頓着だね... もっと驚くと思ったよ。 あと、お礼なんて別に大丈夫だからね。」 俺の表情が意外だったのか、少女はそわそわしている。 俺はベッドから降り軽く背伸びをした。 あと、彼女に聞いておかなければいけないことがある。 「そうだ、俺が死んでからどのくらいたった?」 「えーっと... 皇くんが亡くなったのが2225年で、今が2725年...」 彼女は神妙な顔になり、わざとらしい手つきで指を折って数を数えだした。 「丁度500年か、ずいぶんと長い時間が経ったんだな。」 「あ、500年か。 皇くん計算早いね。」 「ただの引き算なんだが。」 「う、私...数学苦手で...」 彼女は少しうつむくと、恥ながら言った。 しょんぼりしている仕草がまた可愛らしくもある。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― その後、色々なことを詳しく聞かせてもらった。 俺が死んでから3か月後、2225年の夏、両国の和解により東西領土分割戦争は停戦状態となり、東経45度線を国境として落ち着いたそうだ。 そして、俺を蘇生した少女の名は『双葉 楓』、東亜国立大学の院生で、今は研究室に住み着いているらしい。 東亜連合の最高学府の学生は引き算すらできないのかと少し思ってしまったが... あと、容姿から中学生くらいだと思っていたが、まさかの年上だった。 しかし、俺に敬語は使ってほしくないらしいのでこのまま普通に話すことにしておく... そして、俺は彼女のあることに気がついたが、ことが進展するのはもう少し後になるだろう。
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